第208回国会(常会)
質問第七四号 例外的夫婦別氏制度等に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和四年六月十五日 浜田 聡
参議院議長 山東 昭子 殿 例外的夫婦別氏制度等に関する質問主意書 法務省ウェブサイトを見ると、「例外的夫婦別氏制度」が紹介されているが、平成八年及び平成二十二年に法務省が準備した改正法案は、選択的夫婦別氏制度であり、例外的夫婦別氏制度ではない。法務省自身が「一口に例外的夫婦別氏制度といっても様々なタイプのものが考えられる」と述べているとおり、例外的夫婦別氏制度と言っても国民が想定する例外的夫婦別氏制度は様々で、そもそも、その存在すら知らない方も多いだろう。 右を踏まえて、以下質問する。 一 例外的夫婦別氏制度について 1 法務省は、例外的夫婦別氏制度の導入を検討したことはあるか。あればその経過を示されたい。 2 法務省は、例外的夫婦別氏制度を導入する法改正案の要綱をまとめているか。まとめているのであればその内容を示されたい。 二 要綱レベルで例外的夫婦別氏制度をまとめなければ、国民は例外的夫婦別氏制度を導入してもいいかどうか、判断すらつかない。前記一の2の答弁が否なら、なぜ、法務省は、例外的夫婦別氏制度を導入する法改正案すら国民に示していないのか。政府の見解如何。 三 法務省は、「法務省においては、平成八年及び平成二十二年にそれぞれ改正法案を準備しましたが、国民各層に様々な意見があること等から、いずれも国会に提出するには至りませんでした」とウェブサイトで述べているが、日本国憲法の前文に「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、・・・ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する」とあるとおり、我が国は選挙の洗礼を受けた国会議員を通じて、国民が主権を行使しているのであるから、「国民各層に様々な意見がある」のであれば、むしろ、法案を国会に提出して、国民の代表たる国会において、各党各会派が喧々諤々の議論をなしたほうが、国民主権を定めた憲法の趣旨に合うと言える。 1 なぜ、法務省は、平成八年及び平成二十二年にそれぞれ民法改正法案を準備していながら、「国民各層に様々な意見があること」を理由に、法案を国会に提出しなかったのか。政府の見解如何。 2 「国民各層に様々な意見があること等」とあるとおり、政府が平成八年及び平成二十二年にそれぞれ民法改正法案を国会に提出しなかった理由は「国民各層に様々な意見があること」以外にもあると考えているようだが、その理由は何か。政府の見解如何。 四 一部の国会議員において、「別氏夫婦となるためには、職業生活上の事情、祖先の祭祀の主宰その他の理由により婚姻後も各自の婚姻前の氏を称する必要がある場合において、家庭裁判所の許可を得ることができる」という民法改正法案が検討されたが、これに対する政府の見解如何。特に、「両性の合意以外に家庭裁判所の許可を必要とするのは憲法違反である」という観点から答弁されたい。 なお、本質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、転送から七日以内での答弁は求めない。国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内には答弁されたい。 右質問する。 |