質問主意書

第208回国会(常会)

質問主意書

質問第五六号

ログイン時等の通信に係る発信者情報の開示に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和四年六月三日

塩村 あやか


       参議院議長 山東 昭子 殿



   ログイン時等の通信に係る発信者情報の開示に関する質問主意書

 令和三年に成立した特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律の一部を改正する法律(令和三年法律第二十七号)では、新たにログイン時等の通信に係る発信者情報の開示に関する規定等が設けられ、同法の施行により、今後幅広い被害者の救済につながっていくことが期待されている。

 そこで、以下質問する。

一 先般、私が提出した「発信者情報の開示に関する質問主意書」(第二百八回国会質問第四一号。以下「前回質問主意書」という。)に対する答弁書(内閣参質二〇八第四一号)では、「「権利侵害投稿より後に行われたログイン時の通信」は、令和四年三月十六日から同年四月十四日まで意見公募手続を実施した特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律施行規則案(以下「規則案」という。)第五条第二号に掲げる識別符号その他の符号の電気通信による送信には該当せず、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律の一部を改正する法律(令和三年法律第二十七号)による改正後の特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(平成十三年法律第百三十七号)第五条第一項又は第二項の規定による発信者情報の開示の対象(以下「開示対象」という。)とならないこととなる」とされていた。

 一方、今回、意見公募手続を経て令和四年五月二十七日に公布された特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律施行規則(以下「規則」という。)では、第五条柱書、同条第二号及び同条第三号において、ログイン型のサービスを提供するSNS等では、権利侵害投稿と「相当の関連性を有する」ログイン時の通信に係る情報やログアウト時の通信に係る情報が開示対象となると変更された。この「相当の関連性を有する」とは、具体的にどのような場合を想定しているのか、具体例を挙げつつ、政府の見解を示されたい。

二 前回質問主意書において指摘したとおり、これまでの裁判例では、権利侵害投稿の後に割り当てられたIPアドレスから把握される発信者情報であっても、当該権利侵害投稿の発信者のものと認められるのであれば、権利の侵害に係る発信者情報に当たり得るとしているものもある。規則では、ログイン通信を行った者と権利侵害投稿を行った者との間に同一性が認められる場合であれば、権利侵害投稿と時間的に近接して行われた通信に限定されることなく、これまでどおり開示対象となると理解してよいか、政府の見解を示されたい。

  右質問する。