質問主意書

第208回国会(常会)

質問主意書

質問第五四号

自治体のライフジャケットレンタル制度への助成に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和四年六月二日

舩後 靖彦


       参議院議長 山東 昭子 殿



   自治体のライフジャケットレンタル制度への助成に関する質問主意書

 愛媛県西条市の加茂川で二〇一二年七月、「西条聖マリア幼稚園」の宿泊保育に参加した吉川慎之介ちゃん(当時五歳)が川遊び中に流されて水死した事故に関して、刑事訴訟(二〇一六年五月三十日判決、松山地方裁判所)においても、民事訴訟(二〇一八年十二月十九日判決、松山地方裁判所西条支部)においても、園長に「ライフジャケットを準備し園児らに適切に装着させる義務」があることを認めた。

 これらの判決が確定し、今後、学校や園、子ども会などで、水辺に子どもたちを連れていくときには、統括責任者には河川での遊泳の危険性に対して、天候確認やライフジャケット装着などの水難事故を防ぐ計画や準備を整える注意義務があることになる。つまり、学校や園、子ども会などの行事で水難事故が起こった場合、「ライフジャケットを準備していたかどうか」という安全配慮義務が問われることになる。

 一方、ライフジャケットを学校や園、子ども会などで個別に準備することは、使う頻度を考えると現実的ではなく、レンタル業者から借りることになると思われる。しかしながら、サイズが様々なライフジャケットをレンタルで揃えるのは、レンタル料や送料の負担が非常に大きくなる。そのため、学校や園、子ども会などの行事で使うライフジャケットに関しては、都道府県や市町村などの自治体が予算を組んでレンタルステーションを設立するのが、最適の方法と考える。

 行政がライフジャケットをレンタルすることの利点は、学校や園、子ども会などで水辺に行くときに着用させることができる点、学校の水泳学習等で安全教育として着用体験ができる点、ライフジャケットのレンタルをアピールすることで水辺の安全についての啓発になる点等が考えられる。

 現在、香川県、大分県、香川県坂出市、香川県小豆郡小豆島町、滋賀県甲賀市、愛媛県西条市、高知県四万十市などの自治体において、ライフジャケットをレンタルしているが、全国的にはレンタル制度が広がっていないのが実情である。また、ライフジャケットが命を守ることは理解しても、行政がライフジャケットを所有し、管理するには、ライフジャケットの購入予算の確保や保管場所の確保、ライフジャケットを干したり、洗ったり、貸し出したりする事務的作業等の管理、耐久年数が過ぎて使えなくなった場合の補充予算等の課題が挙げられる。

 しかし、公立学校や園の行事、子ども会など、行政が関わっている組織において、ライフジャケットを準備できずに水難事故が起きた場合、最終的に責任を問われるのは管理者である行政側であり、賠償金等のリスクを勘案すればライフジャケットの購入代金や管理費が高いとは言えない。

 こうした状況を踏まえて、政府の認識について、以下質問する。

一 子どもの命を守るため、子どもを水辺に連れて行く際のライフジャケット着用の義務付けが実質的に可能となるよう、自治体において、レンタルステーション等のライフジャケットレンタル制度を設立することは有効であると考えるが、政府の認識は如何。

二 子どもへのライフジャケット着用の義務付けに向け、国が自治体のライフジャケットレンタル制度を後押しする補助金を付ける必要があると考えるが、政府の認識は如何。

  右質問する。