質問主意書

第208回国会(常会)

質問主意書

質問第四三号

不妊症及び不育症を対象とした着床前遺伝学的検査(PGT―A/SR)に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和四年四月二十八日

塩村 あやか


       参議院議長 山東 昭子 殿



   不妊症及び不育症を対象とした着床前遺伝学的検査(PGT―A/SR)に関する質問主意書

 令和四年四月以降、人工授精等の「一般不妊治療」、体外受精・顕微授精等の「生殖補助医療」が新たに保険適用されることとなった。しかし、不妊症及び不育症を対象とした着床前遺伝学的検査(PGT―A/SR。以下「着床前診断(PGT―A/SR)」という。)については保険適用の対象とはならなかった。着床前診断(PGT―A/SR)は、不妊症及び不育症に悩む者において、妊娠成立の可能性の向上が期待できる又は流産の回避につながる可能性がある手段として実施されており、母体保護の観点からも重要な役割を有していると考えられる。

 令和四年三月二十二日に公益社団法人日本産科婦人科学会ホームページに掲載された「不妊症及び不育症を対象とした着床前遺伝学的検査(PGT―A/SR)の先進医療実施方針について患者の皆さまへのお知らせ」(以下「お知らせ」という。)によれば、同学会は着床前診断(PGT―A/SR)について、「先進医療Aとして将来の保険適応に向けた研究の実施を先進医療会議に申請をいたしました。去る三月三日に行われました先進医療会議におきまして、重要な内容を含む医療であるので、より厳密な患者登録やモニタリング、統計解析を行いその医療の有効性を示さなければならない先進医療Bとして改めて申請するように指示がありました」と記載している。また、「先進医療Bは一般の新規医療と同様の先端的医療に関する研究ですので実施が認められる医療施設はごく少数で登録できる症例も限られ、事前の予定症例数を超えることは原則的に出来ません」とも記載している。

 以上を踏まえ、着床前診断(PGT―A/SR)について、以下質問する。

一 お知らせにあるとおり、先進医療会議において、着床前診断(PGT―A/SR)を先進医療Aではなく先進医療Bとして改めて申請するように指示があったのであれば、どのような議論を経て当該指示が行われたのか、その経緯を示されたい。

二 第三十三回先進医療会議の資料先―七によると、先進医療Bは「登録期間と観察期間を含めた形で予定試験期間を、また、統計学的に事前に設計された必要症例数に加えて、解析から除外になる症例数の見込みを加味するなどして予定症例数を設定し、これを先進医療会議で承認して」おり、予定試験期間及び予定症例数については、「統計学的な設定及び予測並びに診療の実態等を踏まえ、試験計画の性質に合わせて適切に設定されるものであり、原則として厳守されるべきものである」としている。そのため、今後、着床前診断(PGT―A/SR)が先進医療Bとして認可された場合、事前に予定症例数が設定され、試験に参加できる患者数が制限されることになるため、同診断による流産回避等の母体保護の効果が十分に果たされなくなることが懸念される。そこで、着床前診断(PGT―A/SR)が先進医療Bに位置付けられた場合には、より多くの患者が同診断を受けられるように予定症例数等を設定する必要があると考えるが、厚生労働省の見解如何。

三 令和四年四月二十五日の参議院決算委員会において、保険適用の対象とならなかった不妊治療について、後藤厚生労働大臣は「先進医療会議におきまして、現時点でエビデンスが不十分とされたものについては、有効性、安全性のエビデンスを集積することで将来的に保険適用の可能性があると評価されたものは先進医療として実施することで保険診療との併用が可能になっております。将来的な保険適用の可能性があると見込まれる技術については、助成を行うのではなく、先進医療として実施し、将来的な保険適用を目指すことが適当であるというふうに考えております」と答弁している。着床前診断(PGT―A/SR)についても、先進医療として認可された場合には、早急に症例やエビデンスを集積し、早期の保険適用に向けた議論を進めるべきであると考えるが、厚生労働省の見解如何。

  右質問する。