質問主意書

第208回国会(常会)

質問主意書

質問第四一号

発信者情報の開示に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和四年四月二十七日

塩村 あやか


       参議院議長 山東 昭子 殿



   発信者情報の開示に関する質問主意書

 近年、SNS上での匿名による誹謗中傷を始め、インターネット上での権利侵害投稿による被害が増加・深刻化している。こうしたインターネット上の匿名の発信者による誹謗中傷等により自己の権利を侵害された者がその被害を回復しようとする場合、プロバイダ等に対し、IPアドレス等の発信者の特定に資する情報(以下「発信者情報」という。)の開示請求を行うことで発信者を特定し、損害賠償等を行うことが考えられる。しかし、近年普及しているログイン型のサービスを提供するSNS等では、投稿時のIPアドレス等が保存されていないことが多いことから、ログイン時等の通信に付随する発信者情報の開示を通じて、被害者を救済する必要性が高まっている。

 そこで、以下質問する。

一 令和四年三月十五日に総務省が公表した特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律施行規則案(以下「規則案」という。)によると、規則案の第五条柱書、同条第二号及び同条第三号において、ログイン型のサービスを提供するSNS等では、権利侵害投稿の「直近」に行われた又は権利侵害投稿より前に行われたログイン時の通信に係る情報や、権利侵害投稿の後に行われたログアウト時の通信に係る情報しか開示対象とならないと読めるが、例えば、権利侵害投稿より後に行われたログイン時の通信に係る情報は開示対象とならないのか、政府の見解を示されたい。

二 これまでの裁判例では、権利侵害投稿の後に割り当てられたIPアドレスから把握される発信者情報であっても、当該権利侵害投稿の発信者のものと認められるのであれば、権利の侵害に係る発信者情報に当たり得るとしているものもある。規則案では、ログイン通信を行った者と権利侵害投稿を行った者との間に同一性が認められる場合であっても、権利侵害投稿後に割り当てられたIPアドレスから把握される発信者情報は開示しなくてよいという解釈に変更しているのか。それとも同一性が認められれば、引き続き開示対象となるのか、政府の見解を示されたい。

三 ツイッター社やグーグル社等の海外法人が開示請求の相手方の場合、一般的に手続に時間を要することから、仮に開示の対象を権利侵害投稿の「直近」のログイン等に係る情報に限定した場合、開示請求前に当該情報が消去され、実質的に発信者情報が開示される芽を摘み取ってしまうことが懸念されるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。