質問主意書

第208回国会(常会)

質問主意書

質問第三五号

公営住宅入居者の家賃の決定における収入算定に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和四年四月十二日

山添 拓


       参議院議長 山東 昭子 殿



   公営住宅入居者の家賃の決定における収入算定に関する質問主意書

 新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する下で、中小事業者や個人事業主、フリーランスで働く人などが営業の自粛や時短を余儀なくされてきた。国や都道府県等による給付金や協力金等は、不十分な点があるとはいえ、くらしと生業を支える重要な役割を果たしてきたが、課税対象の収入となることから新たな不安が広がっている。

 例えば東京都内の公営住宅に入居する飲食店経営者からは、「持続化給付金や東京都の協力金が家賃額を決める際の収入として認定され、公営住宅の家賃が倍になった。このままでは明渡しの対象となりうるという通知まで来て不安」との声が寄せられている。

 公営住宅法(以下「法」という。)は、「健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を整備し、これを住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸し、又は転貸することにより、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的とする」法律であり(法第一条)、その家賃の決定については、「入居者からの収入の申告」に基づき事業主体が算定して行うものとしている(法第十六条第一項)。この「収入」は、過去一年間における所得税法に基づく所得金額の合計から所定の金額を控除した額を十二で除した額とされ(法施行令第一条第三号)、「所得金額」とは、「給与所得者が就職後一年を経過しない場合等その額をその者の継続的収入とすることが著しく不適当である場合においては、事業主体が国土交通大臣の定めるところにより認定した額」とされている(同号括弧書き)。すなわち、所得税法に基づく所得金額がそのまま家賃決定の基礎となる「収入」として算定されるわけではない。

 コロナ対策としての給付金や協力金等は、緊急事態宣言やまん延防止重点措置等の発出、延長等に伴い営業自粛等を余儀なくされる事業者等への一時的・緊急的な支援策であり、これを「継続的収入」と扱うことは公営住宅入居者に不当・過大な負担を強いることになりかねず、収入の算定対象から除外すべきである。

 そこで以下、質問する。

一 国や都道府県等によるコロナ対策としての給付金や協力金等が「収入」として認定されるために公営住宅の家賃額が跳ね上がり、この先家賃額を払えず、住み続けられなくなるかもしれないという不安や懸念が入居者から出されている。政府として、こうした声があることを認識しているか。

二 都道府県をはじめ公営住宅の事業主体において、次に掲げる取扱いは可能か。「公営住宅法施行令第一条第三号の収入の認定の特例について」(一九六一年三月六日住発第五六号)にも言及の上で、政府の認識を示されたい。

1 入居者が収入を申告する際、国や都道府県等のコロナ対策としての給付金や協力金等の受取額を適切な形で明記した上で、家賃決定の基礎となる「所得金額」としては、これら給付金や協力金等を予め除いた額を収入として申告すること。

2 入居者が収入を申告する段階では、所得税法に基づく所得金額を収入として申告した上で、家賃決定の基礎となる「所得金額」の認定に際して、国や都道府県等のコロナ対策としての給付金や協力金等を除外した額とすること。

三 前記二のように、コロナ対策としての給付金や協力金等の受取額を公営住宅の家賃決定の基礎となる「所得金額」から控除する場合や、控除せず相当額を家賃の減免(法第十六条第五項)で対応する場合、公営住宅の事業主体の家賃収入が減少する場合が生じうる。

 そこで、地方公共団体の判断により、こうしたコロナ対応による家賃収入の減少分について、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を充てることは可能か。

  右質問する。