質問主意書

第208回国会(常会)

質問主意書

質問第三三号

賃上げ税制に係るマルチステークホルダー経営宣言に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和四年三月二十五日

牧山 ひろえ


       参議院議長 山東 昭子 殿



   賃上げ税制に係るマルチステークホルダー経営宣言に関する質問主意書

一 大企業向けの賃上げ促進税制について、今国会で成立した所得税法等の一部を改正する法律では、一定規模以上の大企業に対して、マルチステークホルダー経営宣言をしていることを適用要件とすることとされている。また、一定規模とは、資本金十億円以上、かつ、常時使用する従業員数千人以上の大企業であると承知している。

 租税特別措置の適用実態調査の結果に関する報告書によれば、令和二年度における賃上げ促進税制の適用法人数は約十万社とのことであるが、マルチステークホルダー経営宣言をしていることが求められる一定規模以上の大企業に該当する企業は、そのうちどれくらいあるのか示されたい。

二 マルチステークホルダー経営宣言の目的の一つとして大企業と取引をする中小企業への還元を後押しする仕組みを実現することが挙げられている。そうであるならば、一定規模以上の大企業に限らず、より広い範囲の企業を対象にすべきではなかったか。また、「一定規模」を「資本金十億円以上、かつ、常時使用する従業員数千人以上」と定めた根拠を示されたい。

三 マルチステークホルダー経営宣言の制度設計の詳細については現在検討中であると承知しているが、形式的に宣言の要件を満たしただけでは意味がない。宣言によって実際に中小企業に還元されていることを正確に把握し評価しなければ、制度は形骸化するだけである。マルチステークホルダー経営宣言の目的である、中小企業への還元という点をどのように把握し効果測定するのか、政府の見解を示されたい。

四 賃上げ税制の対象となった企業が、マルチステークホルダー経営宣言に明らかに違背するような行動をとっていた場合、政府は当該企業に対してどのような対応をとるのか。特に、過去控除された税額及び今後控除が予定されていた税額について、どのように取り扱う考えか、見解を示されたい。

  右質問する。