質問主意書

第208回国会(常会)

質問主意書

質問第一四号

AV出演強要問題に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和四年二月十六日

塩村 あやか


       参議院議長 山東 昭子 殿



   AV出演強要問題に関する質問主意書

 女性に対する深刻な性暴力被害として厳しく指摘されるアダルトビデオ(以下「AV」という。)出演強要問題について、二〇二二年四月より成人年齢が二十歳から十八歳へ引き下げられることに伴い、若年成人女性の被害が増加する危険性が増大することを念頭に、以下質問する。

一 我が国とEUの間では、「個人データの移転を行うことができるだけの十分なデータ保護の水準を持つ」と相互に認める、いわゆる「十分性認定」が二〇一九年に発効した。

 しかし、我が国及びEUと比較して個人情報の保護の水準が低い国もある中、本人の意に反して出演を強要されたAVの動画が国外のサーバーから発信され、世界中に拡散されて被害が拡大するという、いわゆるデジタル性暴力被害が増加している。

 発信元が国外のサーバーであるため、多くの被害者が適切な対応を取ることができないまま泣き寝入りを強いられている状況を踏まえ、こうした動画がいわゆる「十分性認定」のない個人情報保護の水準が低い国に流出した場合に、政府が積極的に対応策を講ずるとともに、被害者の保護に取り組むべきだとの指摘があるが、政府の認識を問う。

二 AVへの出演に際して、出演者はプロダクションと契約を締結するとともに、メーカーとも出演契約等を締結するとされるが、これらの契約の締結に当たり、本人の意思に基づかないまま締結される場合等があることが、女性への性暴力被害の温床となっているとの指摘がある。

 二〇一八年八月三十一日に消費者庁消費者制度課長名で発せられた「アダルトビデオ出演強要問題と消費者契約法の適用について(周知)」では、同年に成立した消費者契約法の一部を改正する法律に、取り消し得る不当な勧誘行為や無効となる契約条項が追加等されたことを踏まえ、「例えば、事業者が、出演契約を締結する前に、出演契約の締結を目指して撮影の準備をし、出演をしないのであればその費用を支払うよう告げて勧誘したため、女性が困惑し、契約を締結してしまった場合などには、消費者契約法が適用されるのであれば、その女性はその出演契約を取り消すことが可能になります」としている。

 AVの出演者は、消費者契約法で規定する要件を満たせば、プロダクション及びメーカーとのいずれの契約も取り消すことができるということで良いか。さらに、プロダクションとの契約を取り消した場合、これに連動して、特段の法律行為を要せずとも当該撮影に係るメーカーとの出演契約も取り消されたこととなるのか。また、これまで取り消しとなった契約の数及びその内容について示されたい。

  右質問する。