質問主意書

第208回国会(常会)

質問主意書

質問第七号

SDGsの「貧困をなくそう」という目標に寄与しない森林環境税に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和四年一月二十五日

浜田 聡


       参議院議長 山東 昭子 殿



   SDGsの「貧困をなくそう」という目標に寄与しない森林環境税に関する質問主意書

 政府が「持続可能な開発目標」(以下「SDGs」という。)を採択してから六年が経過した。その間、世間一般のイメージといえば、SDGsとは「環境にやさしいことをしよう」等といったイメージばかりが先行し、「貧困をなくそう」という目標がSDGsに含まれていることは、あまり浸透していないように思われる。とりわけ、相対的貧困をなくそうという目標は政府にすら浸透していないように思われ、その最たるものが令和六年度から課税予定の森林環境税である。この税制は、その目的はともかくとして、住民税非課税世帯以外の国民に対し、どれだけ貧しくとも、問答無用で一人当たり千円を課税するというものであり、貧困の再生産を加速させることはあっても、SDGsの目的である「貧困をなくそう」という目標に寄与しないことは明らかである。

 右を踏まえて、以下質問する。

一 一部の地方公共団体は、森林環境税及び森林環境譲与税の目標を「SDGs達成のため」等と称しているが、課税方法が応能負担ではないため、「相対的貧困をなくす」ことに全く寄与しないこの税制を「SDGs達成のため」等と称することは明らかに誤りである。政府は、地方公共団体に対し、森林環境税及び森林環境譲与税の目的は、環境保護のみであって、SDGsの「貧困をなくそう」という目標には何ら寄与しないことを、地方自治法第二百四十五条の四による技術的助言ないし勧告を行うなどして、力強く周知すべきではないか。政府の見解如何。

二 森林環境税は、高所得の者と、その配偶者の住民税が非課税の枠に収まるよう働いているパート労働者の夫婦といった特に貧困でない世帯には合計千円が課税され、夫婦二人とも非正規労働者で所得は低いが、住民税非課税とされない収入を得ている世帯には合計二千円が課税されることになると承知している。このように、住民税が課税されているかどうかのみを判断基準として、収入に関係なく一定額を課税する手法は貧困の再生産をさらに加速させるところ、政府は、なぜSDGsにおいて「貧困をなくそう」という目標を採択していながら、森林環境税を応能負担ではなく、住民税が課税されている人に、所得に関係なく一律で千円を課税するという税制としたのか。政府の見解如何。

 なお、本質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、転送から七日以内での答弁は求めない。国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内には答弁されたい。

  右質問する。