質問主意書

第208回国会(常会)

質問主意書

質問第一号

日朝交渉における拉致被害者などの課題に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和四年一月十七日

有田 芳生


       参議院議長 山東 昭子 殿



   日朝交渉における拉致被害者などの課題に関する質問主意書

 岸田文雄政権になり、日朝間の課題については、安倍政権や菅政権と同じ方針が示されています。政府がいまも有効とするストックホルム合意で示され、のちに解散となった北朝鮮の特別調査委員会についての認識などについて質問します。

一 ストックホルム合意で、北朝鮮は「一九四五年前後に北朝鮮域内で死亡した日本人の遺骨及び墓地、残留日本人、いわゆる日本人配偶者、拉致被害者及び行方不明者を含む全ての日本人に関する調査を包括的かつ全面的に実施することとした」としていました。北朝鮮の特別調査委員会が解散したとはいえ、政府は、これら「全ての日本人」に関する課題について、これまで北朝鮮側からどのような調査報告を受けていましたか。最終報告ではなく、経過的にどんな内容だったのか、その認識を具体的にお示しください。

二 北朝鮮からの報告を受けていない場合には、それまでの交渉において、政府として遺骨及び墓地について何が問題だと認識していましたか。

三 同じく政府は、残留日本人は交渉時に何人生存しており、いま何人生存していると認識していますか。また、残留日本人問題の解決とは何を意味するのか。その認識をお示しください。

四 同じく政府は、いわゆる日本人配偶者は交渉時に何人生存しており、いま何人生存していると認識していますか。また、いわゆる日本人配偶者問題の解決とは何を意味するのか。その認識をお示しください。

五 政府認定拉致被害者は十七人で、生存が確認されないのは十二人です。政府はストックホルム合意で明記された行方不明者は何人だと認識していますか。二〇〇八年八月の日朝実務者協議では、政府認定拉致被害者に加えて、「提起された行方不明者」をふくめて「すべての拉致被害者」問題の解決が謳われています。ストックホルム合意における交渉で、政府は具体的に行方不明者を提起したのですか。

六 二〇〇八年八月の日朝実務者協議において、北朝鮮側が調査する対象として「政府が認定した被害者やその他に提起された行方不明者等が含まれ、すなわち、すべての拉致被害者が対象となること」とあります。「その他に提起された行方不明者」とありますが、「提起された」のは政府からなのですか、それとも北朝鮮からなのですか。提起した主語を明確にしてください。この「提起された行方不明者」は具体的個人をあげての提起だったのですか、それとも一般的な行方不明者を指しているのですか。さらに具体的であったなら、その人数について認識をお示しください。

七 二〇〇八年八月の日朝実務者協議で、北朝鮮側は、調査委員会を設置することで日本側と一致しました。そこには遺骨及び墓地問題、いわゆる日本人配偶者問題、残留日本人問題は入っていません。しかし、二〇一四年のストックホルム合意では、それらの課題が入っています。政府としての認識の変化があったのなら、その理由をお示しください。

  右質問する。