質問主意書

第207回国会(臨時会)

答弁書

内閣参質二〇七第四四号
  令和四年一月七日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員紙智子君提出北海道太平洋沿岸における赤潮被害は災害級との認識に立った救済に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員紙智子君提出北海道太平洋沿岸における赤潮被害は災害級との認識に立った救済に関する質問に対する答弁書

一の1並びに2の(1)及び(3)について

 令和三年度補正予算に計上している北海道赤潮対策緊急支援事業(以下「北海道赤潮対策緊急支援事業」という。)においては、漁業者等が取り組む漁場環境の把握、岩盤清掃、ウニ殻等の除去・処分等の漁場環境の回復のための活動及び当該活動に係る漁業協同組合の事務負担に対する支援を行うこととしたところである。

一の2の(2)について

 令和三年十月七日から八日にかけて、関係する町及び漁業協同組合から聞き取りを行ったが、御指摘の「水産加工業者、被用者」に対し、今般の北海道の太平洋沿岸における漁業被害(以下「漁業被害」という。)が具体的にどのような影響を及ぼしているかについての言及はなかった。また、北海道庁に水産加工業者の現状について尋ねたところ、同年十一月二十二日に、一部の魚種について漁獲量の減少に伴い原料価格に影響が生じているが、赤潮に起因するものかどうか不明である旨の回答を得たところであり、令和三年度補正予算において、御指摘の「水産加工業者、被用者」への支援は措置しなかったところである。

一の2の(4)について

 御指摘の「サケの卵や稚ウニ、コンブ資源を確保し増殖する」ことについて、種苗放流は、平成十八年度に国・地方の三位一体改革の一環として、都道府県等の裁量の下で自主的に取組を進めることとされており、政府としては、北海道赤潮対策緊急支援事業において、赤潮の発生原因の究明のための取組及び漁業者等が取り組む漁場環境の回復のための活動に対し支援することとしたところである。

二について

 北海道赤潮対策緊急支援事業における北海道及び関係する市町の地方負担の額は約六億円と見込んでいる。北海道赤潮対策緊急支援事業に係る実際の当該地方負担の額の八割に相当する額については、特別交付税措置を講ずることとしている。

三について

 北海道庁が公表している「太平洋海域における漁業被害の概況(令和三年十二月二十四日現在)」によると、「被害状況等は、漁協からの聞き取りによる概数のため、今後の調査に伴い変動する可能性がある」とした上で、被害額は、一部の魚種の複数年にわたる被害額を含め「全道計」で約八十一億九千万円、うち、ウニにあっては四年程度で約七十三億六千七百万円、サケにあっては約七千四百万円、「サクラマス(十勝)などの試験養殖やブリ(日高)、クロソイ(十勝)のほか、影響が及んでいるツブ、タコや増殖用のサケなど」を含めた「その他」にあっては約七億四千八百万円であったとしている。また、お尋ねの「今後の漁業・水産業への影響」とは、将来分も含めた今般の漁業被害の総額を指すものと考えられるが、現在においても、同庁において漁業被害の状況を調査中であることから、予断をもってお答えすることは困難である。

四について

 令和二年十月に報道されたカムチャツカ半島沿岸において発生した赤潮(以下「カムチャツカ沿岸赤潮」という。)について、国立研究開発法人水産研究・教育機構から、地方独立行政法人北海道立総合研究機構に対し、同月十四日、十五日及び十六日に電子メールにより、カムチャツカ沿岸赤潮の原因種と考えられる生物種及び北海道沿岸海域を対象とした観察手法に関する情報提供や注意喚起を行った。赤潮被害は沿岸海域において特定の植物プランクトンが一定の条件下で大量に増殖した場合に発生するものであることから、赤潮の発生に関する御指摘のような「海水のモニタリング調査などの観察や注意喚起などの防止策」は、一般に、沿岸海域を対象に行ってきている。お尋ねのカムチャツカ沿岸赤潮に関する当該防止策についても、沖合海域については行わなかったところである。