質問主意書

第207回国会(臨時会)

答弁書

内閣参質二〇七第四二号
  令和四年一月七日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員田島麻衣子君提出国土交通省による建設業の基幹統計書換え問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員田島麻衣子君提出国土交通省による建設業の基幹統計書換え問題に関する質問に対する答弁書

一、二、五、十一及び十二について

 建設工事受注動態統計(以下「受注動態統計」という。)の調査結果においては、事業者から提出期限後に提出された調査票に記載された受注高について、実際に受注が行われた月ではなく、当該調査票の提出を受けた月の受注高として合算して反映すると同時に、平成二十五年四月分からは、事業者から調査票の提出を受けていなかった月について、受注高の推計値を反映していたことにより、一部の受注高が重複して反映されていたことで、実際の受注高とは異なる数値が反映されていたものであり、このような集計方法は不適切であったと考えている。

 国土交通省においては、会計検査院から指摘を受けたことを踏まえ、受注動態統計に関する現状の把握や対応策の検討を行ったものと認識している。また、受注動態統計については、令和三年四月分以降は、新しい推計方法のみによる調査結果を公表しているが、令和二年一月分から令和三年三月分までについては、対前年の調査結果との比較ができるよう、新しい推計方法と従前の推計方法の両方による調査結果を公表しているところ、御指摘の令和三年十二月十六日の参議院予算委員会における斉藤国務大臣の答弁は、こうしたことを踏まえて述べられたものであり、「統計学の文献」に係るお尋ねについてお答えすることは困難である。

 受注動態統計の調査結果において実際の受注高とは異なる数値が反映されていたことに関するこれ以上の詳細に係るお尋ねについては、現時点で詳細な事実関係が明らかではないことから、お答えすることは困難である。

三及び四について

 犯罪の成否については、捜査機関が収集した証拠に基づいて個々に判断すべき事柄であるため、一概にお答えすることは困難である。

六について

 御指摘の「全体の受注額」の具体的に意味するところが明らかではないため、お尋ねについてお答えすることは困難である。

七から十までについて

 GDP統計の推計に当たっては、受注動態統計の調査結果を直接的には用いていない一方、国土交通省が受注動態統計の調査結果を用いて作成する建設総合統計の結果を用いている。また、GDP統計の推計に当たって用いる建設総合統計の結果による建設工事の出来高の推計に当たっては、受注動態統計の調査結果による受注高等を着工ベースの金額として捉え、これらを出来高ベースに展開し、過去の建設投資額と受注動態統計の調査結果による受注総額との比率である補正率を掛ける補正処理を加えている。御指摘の令和三年十二月十六日の参議院予算委員会における山際国務大臣の答弁も、こうした建設総合統計やGDP統計の推計方法を踏まえて述べられたものである。その上で、実際の受注高とは異なる数値が反映されていたことによる受注動態統計の調査結果への具体的な影響が現時点で明らかではないことから、建設総合統計の結果等への具体的な影響の程度についても、現時点で明らかではなく、「GDPへの影響額はいくらか」及び「将来、この答弁を修正又は撤回することはあるか」とのお尋ねについてお答えすることは困難である。また、「誰がいつ明らかにするか」とのお尋ねに関しては、受注動態統計の調査結果への具体的な影響や建設総合統計の結果等への具体的な影響の程度を踏まえるべきものと考えている。

十三について

 受注動態統計においては、郵送による調査に加え、オンラインによる調査も導入しているところである。また、令和三年三月時点で、基幹統計の作成を目的として行われている基幹統計調査のうち、オンラインによる調査を導入しているものは四十八調査であり、導入していないものは二調査である。