質問主意書

第207回国会(臨時会)

答弁書

内閣参質二〇七第一五号
  令和三年十二月二十八日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員塩村あやか君提出がん検診の受診率向上及び痛くない婦人科検診の方法の普及促進に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員塩村あやか君提出がん検診の受診率向上及び痛くない婦人科検診の方法の普及促進に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの理由については、がんの種類ごとには把握していないが、令和元年に内閣府が実施した「がん対策・たばこ対策に関する世論調査」によると、「がん検診を受けない理由」として、「受ける時間がないから」、「健康状態に自信があり、必要性を感じないから」、「心配なときはいつでも医療機関を受診できるから」等が挙げられている。

 また、我が国のがん検診の受診率は、諸外国に比べて低い状況にあると認識しており、引き続き、がん検診の受診率の向上に向けた取組を進めてまいりたい。

二について

 がん検診の受診率の向上の観点から、検査に伴う痛み等の身体的な負担を軽減することも重要であると考えているが、政府としては、健康増進法(平成十四年法律第百三号)第十九条の二の規定に基づき市町村(特別区を含む。)が実施するがん検診として、がんの早期発見・早期治療による対象集団全体の死亡率の減少という利益が、検査の偽陽性(がんでないにもかかわらずがんと診断することをいう。)や過剰診断(生命予後を脅かしたり、症状をもたらしたりしないようながんを診断することをいう。)の不利益を上回ることが、科学的根拠に基づいて明らかな検診方法を推奨しており、具体的には、厚生労働省で開催された「がん検診のあり方に関する検討会」における議論を踏まえ作成した「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」(平成二十年三月三十一日付け健発第〇三三一〇五八号厚生労働省健康局長通知別添)等において示しているところである。現在、乳がん検診については、乳房エックス線検査及び質問による手法が同指針に基づく唯一の検診方法であり、他の手法については推奨しておらず、周知も行っていない。また、お尋ねの「施設数」については把握していない。

三について

 令和三年十一月に国立研究開発法人国立がん研究センターが発表した「院内がん登録二〇二〇年全国集計」によると、令和二年の登録数(新規にがんの診断や治療を受けた数をいう。)は、約七割のがん診療病院(がん診療連携拠点病院を含む。)において、対前年比で減少している。同集計の結果については、新型コロナウイルス感染症の影響によるがん検診の受診率の低下や必要な受診が控えられたこと等を理由として、早期がんを中心にがん発見数が減少したものである可能性が高いと受け止めている。このため、厚生労働省においては、がん検診等の必要な医療を受けることは不要不急の外出に当たらないことをSNS等を用いて周知するとともに、新たにインターネット広告等を活用した受診勧奨の取組を行ってまいりたい。