質問主意書

第207回国会(臨時会)

質問主意書

質問第五二号

森友問題に関する財務省の公文書改ざん及び国家賠償請求訴訟の終結に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和三年十二月二十一日

牧山 ひろえ


       参議院議長 山東 昭子 殿



   森友問題に関する財務省の公文書改ざん及び国家賠償請求訴訟の終結に関する質問主意書

 森友学園問題に関する財務省の決裁文書改ざんで、二〇一八年に自殺した近畿財務局職員の赤木俊夫さんへの賠償責任を国が一転して認めた。赤木さんのご遺族が訴えた裁判で、約一億円の賠償請求を受け入れ、国が被告の訴訟は終結した。

 裁判で国は請求棄却を求めてきたが、本年十二月十五日の非公開協議で突然撤回し、改ざん指示などによる業務と精神疾患の発症の因果関係や賠償責任を認める文書を提出した。

 今回の国の認諾について、以下のとおり質問する。

一 岸田文雄首相は「政府としてこの問題に真摯に向き合っていきたい」と述べ、引き続き、真摯に説明責任を果たしていくよう指示したことを明らかにした。しかし、再調査については否定している。具体的にこの問題にどう「向き合う」方針か示されたい。

 また、訴訟終結を真相究明の幕引きにしないという決意はあるか、併せて示されたい。

二 当該訴訟のうち、佐川氏に賠償を求めた部分は継続している。岸田文雄首相が言明しているように、「真摯に説明責任を果たしていく」というならば、佐川氏に賠償を求めた部分の訴訟において、原告であるご遺族側が求める真相解明に繋がる文書開示や証人尋問等に協力すべきと考えられるが、どのような方針で臨むか。

三 国は非公開の協議で、突然請求を受け入れると表明した。なぜ提訴から一年半以上過ぎて主張を変えたのか。

四 国側は本年十二月十五日に大阪地裁に提出した準備書面で、「いたずらに訴訟を長引かせるのは適切ではない」と強調し、「決裁文書の改ざんという重大な行為が介在している本事案の性質を考慮した」と理由を記載した。

1 国家賠償訴訟と同様、ご遺族から国に対して提起されている関連文書開示訴訟(情報公開請求)においても、この理由付けは同様に当てはまるのではないか。

2 前記四の1を踏まえ、文書公開請求についても、国は直ちに公開に応じなければ筋が通らないのではないか。

五 ご遺族側は真相解明を進めるため、財務省理財局幹部などの証人尋問を求める方針だったが、今回の認諾により、国がそれを阻んだことになる。以前、国会における追及の際には、国家賠償訴訟が係属中ということで真相究明が阻まれた経緯があるが、訴訟が終結した今こそ、政治の場での真相解明に真摯に応じるべきと考えるが、政府は協力する意思はあるか。

六 岸田文雄首相は鈴木俊一財務大臣に対し、遺族への丁寧な対応を指示したとされている。その一方で、財務省の担当者は、本年十二月十七日に開かれた立憲民主党の部会で、ご遺族が今回の決定を受けて、財務省に一言申し上げたいという切なる願いをにべもなく拒否した。この対応は「丁寧」と言えるか。政府の見解を示されたい。

七 今回の国の認諾は、どの部局での議論による、どのような議論を経たものなのか。それともトップダウンの政治決断なのか。認諾に至る経緯を、時系列も踏まえて詳細に示されたい。

八 一億円を超える賠償金は税金でまかなわれる。政府は、今回の認諾により財務省の決裁文書改ざんと赤木さんの自殺との因果関係を認めた。これを踏まえ、政府は今後改ざんの関与者に求償権を行使すべきと考えるが、政府はどのような方針をとるのか示されたい。仮に求償権を行使しないとすれば、その理由も併せて示されたい。

  右質問する。