質問主意書

第207回国会(臨時会)

質問主意書

質問第二六号

不妊治療における受精卵や配偶子の取り違え事故に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和三年十二月十七日

塩村 あやか


       参議院議長 山東 昭子 殿



   不妊治療における受精卵や配偶子の取り違え事故に関する質問主意書

 「全世代型社会保障改革の方針」(令和二年十二月十五日閣議決定)において、「子供を持ちたいという方々の気持ちに寄り添い、不妊治療への保険適用を早急に実現する」、「保険適用までの間、現行の不妊治療の助成制度について、(中略)対象拡大を前提に大幅な拡充を行い、経済的負担の軽減を図る」とされたこと等を踏まえ、現在、政府は、国民が安心して不妊治療を受けることができるような制度設計を進めているものと承知している。

 一方で、不妊治療に関係して、その信頼を揺るがす極めて重大な事例も発生している。香川県の医療機関において、不妊治療を受けていた患者が、誤って別の患者の受精卵を移植された可能性がある事例である。本事例について、舛添厚生労働大臣(当時)は、平成二十一年二月二十三日の衆議院予算委員会において、「不妊治療中の患者が昨年秋ころに体外受精により妊娠したが、誤って別の患者の受精卵を移植された可能性が高いことから、患者にこの事実を説明し、人工妊娠中絶を行ったという報告」を香川県及び高松市から受けた旨答弁した。また、米国においても、不妊治療の際に他人の受精卵を移植された事例が報じられるなど、海外においても同様の事例が発生しているものと承知している。不妊治療の末、体外受精により妊娠した後に、このような事実を告げられた患者の精神的苦痛・身体的苦痛は計り知れない。今後、子供を持ちたいという方々に安心して不妊治療を受けていただくためにも、不妊治療を受ける患者が誤って別の患者の受精卵や配偶子を移植等される事故(以下「受精卵や配偶子の取り違え事故」という。)を発生させないことが必要である。

 以上を踏まえ、以下質問する。

一 国内外における受精卵や配偶子の取り違え事故の発生件数や発生に至った原因等を政府として把握しているのか示されたい。把握している場合、その発生件数や発生に至った主な原因を併せて示されたい。

二 舛添厚生労働大臣(当時)は、平成二十一年二月二十三日の衆議院予算委員会において、前述した香川県の医療機関における事例を受け、「厚生労働省としては、二月の二十日に自治体や関係学会に向けて通知を出しました。そして、不妊治療を実施する医療機関において、受精卵等の取り違え事故防止のため、ダブルチェックを実施するなど、医療安全上の適切な措置を講じるように周知したところでございます。今後、さらに実態をきちんと把握した上で、いろいろな指導を行っていきたいと思います」と答弁した。政府は、その後、受精卵や配偶子の取り違え事故の発生防止のため、「医療安全上の適切な措置を講じるように周知した」以外に、いかなる措置を講じてきたのか示されたい。また、今後、不妊治療への保険適用が実現し、これまでより多くの方が不妊治療を受けることになれば、受精卵や配偶子の取り違え事故の発生件数が増加することも考えられる。不妊治療への保険適用に際し、これまでに講じてきた措置に加え、現在、政府として、受精卵や配偶子の取り違え事故の発生防止対策を新たに検討しているのか、その検討状況を伺う。

  右質問する。