質問主意書

第207回国会(臨時会)

質問主意書

質問第四号

デジタル庁がCcとBccを間違えたこと及びその再発防止策に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和三年十二月七日

浜田 聡


       参議院議長 山東 昭子 殿



   デジタル庁がCcとBccを間違えたこと及びその再発防止策に関する質問主意書

 令和三年十一月二十四日、デジタル庁は、報道関係者へのメールを配信する際に、宛先の記載ミスにより約四百件のメールアドレスを誤送信したことを明らかにした。これ自体は古典的なミスであり、決して褒められるものではないものの、大げさに取り上げるミスではないと考える。むしろ国民ががっかりしていることは、再発防止策が「今後は厳重に注意し、再発防止に努める」であることであった。人間はミスをする生き物であり、ITの力で人為的なミスをいかに減らすかを考えることも、国民がデジタル庁に求める役割の一つであろう。

 右を踏まえて、以下質問する。

一 厚生労働省四国厚生支局が平成三十年十二月七日に主催した、平成三十年度医療安全セミナーにおいて、京都大学医学部附属病院医療安全管理部部長松村由美先生が発表したスライド「ダブルチェックの有効性を再考する」によれば、ダブルチェックをしたとしてもミスをなくすことはできず、「何重にもチェックを行うからエラー対策は大丈夫と考えるのは、単なる気休め・責任逃れである」、「二名の人的資源を投入する=時間プレッシャーの増加」等の記述がある。「厳重に注意し、再発防止に努める」という再発防止策は、ともすれば職員の稼働時間を食いつぶし、時間プレッシャーをいたずらに増加させた割に、あまりミスは減らないといったケースも当然想定すべきであるが、政府の見解如何。

二 なぜ、政府は「厳重に注意し、再発防止に努める」という対策を講ずる前に、「ミスが起こらない仕組みをITの力を使って構築できないか検討」しなかったのか。政府の見解如何。

三 デジタル庁に、情報処理技術者試験制度のスキルレベル二以上の職員は何名存在するか。概算でよいので答弁いただきたい。また、これらの職員は、「厳重に注意し、再発防止に努める」以外の対策を本当に思いつかなかったのか。

四 ウィンドウズには右クリックでショートカットを作成する機能があり、この機能を駆使すれば、毎回メールアドレスを入力せずとも、決まった宛先を設定した状態でメーラーを立ち上げるショートカットを作成することが可能である。例えば、Toにhoge@digital.go.jp、Ccにfuga@digital.go.jp、Bccにpiyo@digital.go.jpとhogehoge@digital.go.jpを設定したい場合、ショートカットを作成する際に尋ねられる「項目の場所を入力してください」という欄に「mailto:hoge@digital.go.jp?cc=fuga@digital.go.jp&bcc=piyo@digital.go.jp;hogehoge@digital.go.jp」と入力しショートカットを作成すればよい。この機能によって作成されたショートカットをダブルクリックすると、Toにhoge@digital.go.jp、Ccにfuga@digital.go.jp、Bccにpiyo@digital.go.jpとhogehoge@digital.go.jpが予め入力された状態でメーラーが立ち上がる。この応用で、エクセルにBccで管理するべきメールアドレスを入力しておいて、マクロ機能を使って、予めBccが入力された状態でメーラーを立ち上げるショートカットを作り、職員が報道発表をする際は必ず作成されたショートカットからメーラーを立ち上げれば、Bccで送付すべきメールアドレスをエクセル上でメンテナンスしたとしても、少なくともCcとBccを人間が間違うミスはなくなる。無論、本質的には、一斉メール送信用のサービスを利用する等、根本的な対策が必要であろうが、予算もなければフリーソフトも自由に入れることができないといった制約された環境下においても、「厳重に注意し、再発防止に努める」ことより確度の高い、一応の再発防止はできる。そして、このマクロ機能を作成することに対し要求されるITスキルは、普段はプログラマとして働いていないが、必要に応じてウェブサイトからサンプルコードをコピーし、十数行程度改変することができる程度であり、初級レベルである。無論、私が挙げた例は一例であり、本職のプログラマであれば、もっと優れた方法を思いつくことは想像に難くないが、ITの力を活用した政府の再発防止策を具体的に示されたい。

 なお、本質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、転送から七日以内での答弁は求めない。国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内には答弁されたい。

  右質問する。