質問主意書

第207回国会(臨時会)

質問主意書

質問第三号

政府によるプラスチック使用製品廃棄物の排出の抑制及び再資源化等を促進するための措置の創設に対する規制の事前評価に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和三年十二月六日

浜田 聡


       参議院議長 山東 昭子 殿



   政府によるプラスチック使用製品廃棄物の排出の抑制及び再資源化等を促進するための措置の創設に対する規制の事前評価に関する質問主意書

 環境省が令和三年十月に評価を実施し、作成したプラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律施行令案に対する規制の事前評価書では、「②プラスチック使用製品産業廃棄物等の排出の抑制及び再資源化等について」において、企業が負担することになる遵守費用と、規制の導入によって削除される費用を比較勘案している。その算定方法について、以下質問する。

一 遵守費用について、政府は単純に「導入された規制の対応に要した時間×従業員の人件費」で算出しているが、企業は、人件費が増えれば、自動的に健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、子ども・子育て拠出金、雇用保険、労災保険の事業主負担分(以下「法定福利費の事業主負担分」という。)も増えるのである。

1 遵守費用を「導入された規制の対応に要した時間×従業員の人件費」だけで計算することは遵守費用を過小に見積もることとなるが、政府は、なぜ法定福利費の事業主負担分を考慮しなかったのか。政府の見解如何。

2 法定福利費の事業主負担分を考慮しないことは、国土交通省がこれまで総額で作成されていた見積書に法定福利費を内訳として明示して取引することを奨励する取組と矛盾するのではないか。政府の見解如何。

二 一方で、規制の導入によって削減される費用は「一日当たりの一人分のプラスチック廃棄物の量×営業日×従業員数×排出の抑制及び再資源化等を行うことで抑制される割合×廃プラスチックの処理費用」で計算しているところ、これでは従業員が営業日に全員出社する前提で計算されてしまう。実際には、有給休暇によって営業日に出社しない従業員もいるだろうし、そもそも、退職再雇用によって週四日勤務となった従業員など、勤務日と営業日が一致しない従業員も当然に存在する。さらに、政府は企業に対し出勤者数の七割を削減しテレワークをするよう呼びかけており、これに応じた企業の従業員の中には、そもそも出社しない者もいるであろう。

1 厚生労働省作成の「毎月勤労統計調査」令和元年分結果確報によると、全産業における平均出勤日数は、十八日であった。これを単純に十二倍すると二百十六日となり、規制の導入によって削減される費用を考える際は、営業日の二百四十日ではなく、平均出勤日数である二百十六日が適切であると考えられる。政府は、なぜ従業員の人件費を計算するときに限って「毎月勤労統計調査」令和元年分結果確報の数字を引用し、規制の導入によって削減される費用を算出するときは、「毎月勤労統計調査」令和元年分結果確報を引用せず、営業日をそのまま当てはめたのか。政府の見解如何。

2 規制の導入によって削減される費用を「一日当たりの一人分のプラスチック廃棄物の量×営業日×従業員数×排出の抑制及び再資源化等を行うことで抑制される割合×廃プラスチックの処理費用」で計算することは、政府が企業に対し出勤者数の七割を削減しテレワークをするよう呼びかけていることと矛盾するのではないか。政府の見解如何。

三 遵守費用に法定福利費を含めず過小評価し、規制の導入によって削減される費用をテレワークの呼びかけや全産業における平均出勤日数を無視して過大評価した政府の行為は「本政令案で求められる措置を講ずることで、むしろ事業に係る費用は削減される」結論ありきの試算であり、不適切であると思うが、政府の見解如何。

 なお、本質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、転送から七日以内での答弁は求めない。国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内には答弁されたい。

  右質問する。