質問主意書

第206回国会(特別会)

答弁書

内閣参質二〇六第一一号
  令和三年十一月十九日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員浜田聡君提出ファクシミリを用いた業務の廃止に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員浜田聡君提出ファクシミリを用いた業務の廃止に関する質問に対する答弁書

一について

 内閣官房行政改革推進本部事務局においては、「各府省の業務・手続におけるFAXの利用廃止について(依頼)」(令和三年六月七日付け内閣官房行政改革推進本部事務局事務連絡)により、各府省に対して、「災害対応に関する業務・手続」及び「国民、事業者等からFAXによる提出を現に受け付けているため、当面の間はFAXの利用の存続が必要な業務・手続」(以下「災害対応に関する業務・手続等」という。)を除き、令和三年六月三十日までにファクシミリの利用を廃止するよう求めるとともに、災害対応に関する業務・手続等以外で、ファクシミリの利用を廃止した場合に具体的な支障が生じること等により廃止が困難な業務・手続(以下「廃止困難手続」という。)があれば、提出するよう求めたところである。その後、「各府省の業務・手続におけるFAXの利用廃止について(追加連絡)」(令和三年六月二十五日付け内閣官房行政改革推進本部事務局事務連絡。以下「令和三年六月二十五日付け事務連絡」という。)において、各府省から廃止困難手続として提出されたものについて精査し、引き続きファクシミリの利用が必要と考えられる類型について整理したところである。内閣官房行政改革推進本部事務局において把握している引き続きファクシミリの利用が必要と考えられる類型ごとの件数は、「危機管理に関する業務・手続、非常時対応に関する業務・手続」が三十三件、「国民、事業者等との間でFAXによる送受信を現に行っているため、当面の間はFAXの利用の存続が必要な業務・手続」が百五十九件、「各府省又は地方公共団体における事情(セキュリティの確保又は通信環境)からFAXの利用が必要な業務・手続」が五十一件、「民事裁判手続に関する業務・手続(当面の間)」が七件及び「新聞記事のクリッピングサービスにおけるFAXの利用」が五件である。

二及び三について

 「通信環境が十分でないというのは、各省庁が通信環境の計画的な整備を怠った結果であり、令和二年度末に政府ネットワーク環境の再構築も完了したことから、ファックスの存続を認める理由にしてはならないと考える」及び「ファックス回線をメール専用の通信回線にすることで、通信環境は確保できると考える」との御指摘の趣旨が明らかではないが、令和三年六月二十五日付け事務連絡において、「各府省又は地方公共団体における事情(セキュリティの確保又は通信環境)からFAXの利用が必要な業務・手続」を引き続きファクシミリの利用が必要と考えられる類型の一つとして整理したことについては、各府省から、ファクシミリの利用の廃止が困難な理由として、ファクシミリによる送受信の相手先(地方公共団体を含む。)において電子メールが利用できないなどの通信環境の問題があることや十分なセキュリティの確保が必要であることが示されたことを踏まえ、内閣官房行政改革推進本部事務局において、ファクシミリの利用の廃止に当たっては、通信環境の整備及びセキュリティの確保が必要となると考えたものである。

 また、この類型に該当する業務・手続であっても、内閣官房行政改革推進本部事務局から各府省に対し、利用実績、各府省又は地方公共団体の環境整備等を踏まえて、引き続き積極的な見直しを検討するよう求めているところである。

四について

 「このクリッピング契約はどのようなサービスを内容とする契約で予算はいくらであるか」とのお尋ねについては、「このクリッピング契約」が具体的に何を指すのか明らかではないため、お答えすることは困難であるが、内閣官房行政改革推進本部事務局において把握している各府省から示されたファクシミリの利用の廃止が困難な理由においては、新聞社が著作権を有する新聞記事をファクシミリによる送付から電子メールによる送付に変更した場合には料金が高くなること等が示されているところである。

 また、「クリッピング契約」に係るファクシミリの利用については、内閣官房行政改革推進本部事務局から各府省に対し、利用実績、予算等を踏まえて、引き続き積極的な見直しを検討するよう求めているところである。