質問主意書

第206回国会(特別会)

答弁書

内閣参質二〇六第八号
  令和三年十一月十九日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員浜田聡君提出災害時における地方公共団体の情報システムの継続性確保に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員浜田聡君提出災害時における地方公共団体の情報システムの継続性確保に関する質問に対する答弁書

一の1について

 お尋ねの情報システムに関する業務継続計画(以下「ICT-BCP」という。)の市区町村の策定状況については、令和三年三月二日に総務省が実施した「令和二年度地方公共団体における行政情報化の推進状況調査について(照会)」による調査の結果によれば、令和二年四月一日時点のICT-BCPを策定している市区町村の割合は四十三・六パーセントであり、特に町村の六十八・九パーセントがICT-BCPを策定しておらず、このうち五十・三パーセントが策定予定なしとしており、ICT-BCPの策定に向けた市区町村の取組を継続的に支援する必要があると認識している。また、お尋ねのICT-BCPの「策定が進んでいない理由」については、平成二十八年度に総務省が実施した「ICT-BCP及び情報セキュリティポリシーについて」による調査の結果によれば、地方公共団体がICT-BCPを策定していない理由として、全庁業務継続計画(以下「BCP」という。)の検討後又はBCPと合わせてICT-BCPを検討すること、ICT-BCPを策定するための人材が不足していること等が挙げられている。

一の2について

 お尋ねのICT-BCPの策定率を向上させるための人的支援については、地方公共団体情報システム機構において、地方公共団体からの情報システムに関する相談や照会に対して、地方支援アドバイザーの派遣を行っており、ICT-BCPを含むBCPの策定支援のため、これまで十一団体に対して派遣を行っているほか、消防庁において市区町村職員を対象としたBCPの策定を支援する研修を平成二十七年から実施している。更なる人的支援については、こうした取組も踏まえながら、必要に応じて検討を行ってまいりたい。

一の3について

 ICT-BCPの策定推進のため、これまで地方公共団体に対して行った財政的支援はない。御指摘の平成二十四年八月十日に総務省が実施した「「災害発生時の業務継続及びICTの利活用等に関する調査」にかかる補足調査について(依頼)」による調査(以下「補足調査」という。)の結果によれば、ICT-BCPの策定推進に有効と思われる手段について、財政的支援が必要と回答した地方公共団体は五団体のみであるほか、地方公共団体におけるICT-BCPの策定が一定程度進展している現状を踏まえれば、直ちに財政的支援が必要であるとは考えていない。

一の4について

 一の1についてで述べたとおり、補足調査以降、ICT-BCPの策定の阻害要因等を把握するため、平成二十八年度に総務省において「ICT-BCP及び情報セキュリティポリシーについて」による調査を実施している。その調査の結果によれば、地方公共団体がICT-BCPを策定していない理由として、BCPの検討後又はBCPと合わせてICT-BCPを検討すること、ICT-BCPを策定するための人材が不足していること等が挙げられている。

二について

 お尋ねの「地方公共団体のバックアップデータの保管場所、バックアップしているデータの範囲、具体的なバックアップの方法」については把握していないが、「地方公共団体におけるICT部門の業務継続計画(BCP)策定に関するガイドライン」(平成二十年八月二十一日総務省作成)では、バックアップデータの保管場所については、「県外等同時に被災しない場所に保管すること」、バックアップしているデータの範囲については、「住民記録」、「税金や水道料金等の収納状況等に関する情報」等の「重要情報のバックアップ」を必須とすること、バックアップの方法については、「データの重要性や必要となる時間、現在の環境、技術的制約要因、必要経費等を検討し、実現すべきバックアップ方式を決定する」こと等を記載しており、当該ガイドラインに基づき、各地方公共団体がその実情に応じて、適切に対応を行うべきものと考えており、現状における各地方公共団体の個々の実態を把握することは考えていない。また、お尋ねの「津波で被災する可能性のある本庁舎を有する地方公共団体の数」について、都道府県災害対策本部又は市町村災害対策本部が設置される庁舎が、津波防災地域づくりに関する法律(平成二十三年法律第百二十三号)第十条第三項第二号に規定する浸水想定区域内にある地方公共団体の数を令和二年八月五日に消防庁が「地方公共団体における業務継続計画策定状況等及び非常用電源の確保状況等の調査について(照会)」により調査した結果によると、同年六月一日時点において百九十九である。

三の1及び2について

 御指摘の「ガバメントクラウド上のデータのバックアップを行う主体やその方法、バックアップデータの分散管理の方法」、「ガバメントクラウドへの移行後、各地方公共団体は、基幹系システムのデータのバックアップや、バックアップデータの保管を行う必要」及び「災害等によって、庁舎が利用できなくなった場合、庁舎への電力供給が停止した場合又はガバメントクラウドとのネットワークが切断された場合」については、「デジタル社会の実現に向けた重点計画」(令和三年六月十八日閣議決定)に基づき、「ガバメントクラウド上に構築された標準化基準に適合した基幹業務システムを地方公共団体が安心して利用できるようにするため、ガバメントクラウドへの移行に係る課題の検証を行う先行事業」(以下「先行事業」という。)を令和三年度及び令和四年度にかけて実施しており、その結果の検証等を通じて、今後、詳細を検討することとしている。

三の3について

 御指摘の「対策」について、デジタル庁において先行事業等の実施のために作成し、公表している「デジタル庁におけるガバメント・クラウド整備のためのクラウドサービスの提供-令和三年度地方公共団体による先行事業及びデジタル庁WEBサイト構築業務-」調達仕様書(令和三年十月四日デジタル庁公表)の別紙一において記載しているとおり、「全てのデータセンターはTier三相当であり、建築基準法の新耐震基準に適合していること」、「全てのデータセンターは、活断層などの地理的リスクを避けて設置されていること」、「国内に設置された複数のデータセンターで「ゾーン」を構成し、冗長化を確保すること」、「リソースが完全に独立した「リージョン」を複数のゾーンで構成し、関東圏以北及び関西圏以西にそれぞれ一つ以上構築すること」等と認識しているところである。