質問主意書

第205回国会(臨時会)

答弁書

内閣参質二〇五第四〇号
  令和三年十月二十六日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員伊藤孝恵君提出デジタル庁発足に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員伊藤孝恵君提出デジタル庁発足に関する質問に対する答弁書

一の1について

 令和三年九月一日時点において、デジタル庁の常駐の職員(同庁の業務が主たる公務である同庁の職員をいう。以下同じ。)で常勤国家公務員出身又は常勤地方公務員出身ではない者(以下「民間出身の職員」という。)の数は二百二十三人で、そのうち、常勤職員は三人、非常勤職員は二百二十人であり、民間出身の職員の数がデジタル庁の常駐の職員の数全体に占める割合は約四割である。また、多くの民間出身の職員が、兼業又は在宅勤務を行っている。

一の2について

 お尋ねの「もう一段高いレベルの透明性確保のための公表」の具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難であるが、引き続き、デジタル庁として必要な情報の公開に取り組んでまいりたい。

一の3について

 お尋ねの任用の状況については、「採用昇任等基本方針」(平成二十六年六月二十四日閣議決定、令和二年十二月二十五日一部変更)において、「本方針の適切な運用を確保するため、任命権者は、毎年、内閣総理大臣が定めるところにより任用の状況について公表するとともに、内閣総理大臣に対する報告を行う。内閣総理大臣は、これを取りまとめ、国民に分かりやすい形で公表する。」としているところである。

 同基本方針については、国家公務員法等の一部を改正する法律(平成二十六年法律第二十二号)により、幹部職員人事の一元管理等が導入されたことを踏まえ、管理職への任用に関する指針、女性職員の採用・登用の拡大、職員の仕事と生活の調和を図るための取組の促進等に関する指針等を盛り込むとともに、行政需要の変化に対応するために行う優れた人材の養成及び活用の観点等多様な観点を含むこととなったことから、全体として御指摘の「平成二十一年三月三日閣議決定の採用昇任等基本方針」の表現を再構成したものであり、任用の状況について、国民に分かりやすい形で公表することを通じて国民の信頼を確保していくことは、必要かつ重要であるとの考えを変更したものではない。

 政府としては、今後とも、管理職への任用状況等に関する公表等を通じて、国民に分かりやすい形での情報提供に努めるとともに、任用に関する制度の適切な運用に努めてまいりたい。

一の4について

 お尋ねのデジタル庁における採用については、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号。以下「国公法」という。)等の関係法令に従って適切に対応してまいりたい。

二の1について

 令和三年十月十四日時点において、御指摘の「入札制限等に関する誓約書」を提出すべきデジタル庁の職員の数は六百九十人で、同日までに五百九十一人の職員が当該誓約書を提出している。また、当該誓約書の提出をしない職員に対しては、同庁の内規に基づく監督上の措置(以下単に「監督上の措置」という。)の対象とするなどの対応をとることが考えられる。

二の2について

 デジタル庁においては、御指摘の「国家公務員の管理職に適用されている再就職規制のような対応を、非管理職や非常勤職員を含めて行う」ことは検討していない。

二の3について

 御指摘の「誓約内容に虚偽があった場合及び誓約に反する形での業務遂行が認められた場合」については、監督上の措置の対象となり得る。

二の4について

 御指摘の報告書においては、「民間人材の採用時に、兼業先の情報に加え、株式保有情報(大量保有報告書提出要件を参考に、五パーセント程度以上の株式を保有する場合における保有情報)、保有する特許権を登録させるとともに、利益相反行為等には関与しない旨の誓約を求めるべき」とされているところ、これらについては、デジタル庁において、御指摘の「誓約書の提出」を求めること以外に、職員からその保有株式、保有知的財産権等に関する報告を徴することにより対応しているところである。

二の5について

 お尋ねの趣旨が明らかではないためお答えすることは困難であるが、デジタル庁においては、デジタル分野等における専門的な知見を有する者の採用に当たっては、採用の対象となるポストの業務内容、必須条件等を明示することにより円滑な採用を進めるとともに、同庁の職員に係る人事評価については、国公法等の関係法令の規定に基づき対応しているところである。

二の6について

 前段のお尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、御指摘の「利害関係者」については、国家公務員倫理規程(平成十二年政令第百一号。以下「倫理規程」という。)第二条第一項に規定するものを想定している。後段のお尋ねについては、非常勤職員を含む、デジタル庁の全ての職員を対象に、国家公務員倫理法(平成十一年法律第百二十九号。以下「倫理法」という。)及び倫理規程の内容の周知を図るための研修の実施等に取り組んでまいりたい。

二の7について

 デジタル庁の業務におけるコンプライアンス、透明性又は公平性の確保に関する内規としては、「デジタル庁コンプライアンス基本方針」(令和三年九月一日デジタル大臣決定)、「デジタル庁コンプライアンス委員会設置要綱」(令和三年九月一日デジタル大臣決定)、「デジタル庁における入札制限等に関する規程」(令和三年九月一日会計担当参事官決定。以下「入札制限規程」という。)等がある。

二の8について

 入札制限規程第二条第二号に規定する入札制限対象企業から、御指摘の「適用除外申請」があった場合には、デジタル庁において、担当職員が、当該企業と関係職員(同条第一号に規定する関係職員をいう。)との接触状況について確認を行い、入札制限等に関する規定の適用の有無を判断することとしているほか、当該企業との契約締結後に当該契約に係る公平性に疑義が生じた場合には、必要な監察を実施し、入札等の公正を害すべき行為があったと認められたときは、当該契約を解除することとしている。なお、デジタル庁コンプライアンス委員会は、御指摘のような審査を行うものではないが、必要に応じ、入札制限等に関する制度の運用について、デジタル大臣に対し、助言等を行うことが想定されており、同委員会の構成員については、同庁のホームページに公表されているとおりである。

二の9について

 デジタル庁コンプライアンス委員会は、御指摘のような審査を行うものではないが、御指摘の「情報漏洩等の問題が起きた場合」には、デジタル庁の担当職員から必要な報告を受けて、対応策、改善策等の検討を行い、デジタル大臣に対し、助言等を行うことが想定されている。なお、同委員会の構成員については、二の8についてでお答えしたとおりである。

二の10について

 前段のお尋ねについては、御指摘の「情報漏洩対策、談合等を含む利益相反行為対策」を含め、デジタル庁内における規範遵守、公務の公正性及び調達の透明性の確保を図るためには、デジタル庁コンプライアンス委員会がその役割を果たすこと及び同庁の内規の遵守を監督上の措置で担保することが重要であると認識している。後段のお尋ねについては、同庁の職員に対する国公法、倫理法及び倫理規程並びに同庁の内規の内容の周知を図るための研修の実施等の取組が重要であると認識している。

二の11について

 お尋ねの公共調達に係る透明性の確保については、契約方式、契約金額、予定価格等を公表しているが、更にどのような情報を公表することが適切かについて総合的に検討してまいりたい。

二の12について

 お尋ねについては、デジタル庁として必要な情報の公開に取り組んでまいりたい。