質問主意書

第205回国会(臨時会)

答弁書

内閣参質二〇五第二五号
  令和三年十月十九日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員浜田聡君提出金融庁法令等遵守調査室のメンバーの選出・任命に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員浜田聡君提出金融庁法令等遵守調査室のメンバーの選出・任命に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの弁護士の個人名等については、個人に関する情報であることから、お答えすることは差し控えたい。

二について

 利益相反関係等の確認については、公益通報を受理するかを検討する段階において、通報事案への対応に関与する者に対して通報事案との関係を自己申告させるとともに、過去の勤務経歴等の確認を通じて、個別の事案ごとに金融庁及び証券取引等監視委員会(以下「金融庁等」という。)において確認を行っているところ、お尋ねの「親族」の範囲についても、個別の事案ごとに異なることから一概にお答えすることは困難である。その上で、個別の事案である本件に関する対応について具体的にお答えすることは、今後の金融庁等の業務の遂行に支障を及ぼすおそれがあること等から、お答えすることは差し控えたい。

三について

 御指摘の「弁護士資格を持つ任期付職員の前職の法律事務所等の弁護士紹介のWEBページ等において、「金融庁に出向」と明記されている職員がいる。」との点については、現時点で金融庁等に在籍している弁護士資格を持つ任期付職員について、「金融庁に出向」と弁護士事務所のウェブサイトで表記されている職員はいないと認識している。

 また、お尋ねの「弁護士資格を持つ任期付職員が任期を終えた際に前職の法律事務所等に再就職することが約束されているのであれば、任期付職員といえども実質的な「大手金融機関の取締役及び監査役等を務める弁護士の事務所」からの出向及び重大な利益相反ではないか。」については、金融庁等においては、弁護士資格を持つ者を任期付職員として採用する際は、一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する法律(平成十二年法律第百二十五号)に基づき採用しており、弁護士事務所等の他の事業者等との労務提供契約はなく、「実質的な「大手金融機関の取締役及び監査役等を務める弁護士の事務所」からの出向及び重大な利益相反ではないか。」という御指摘は当たらないものと考えている。

四について

 お尋ねの「弁護士資格を持つ任期付職員の前職(出向元、再就職予定先)と金融機関の関係について調査を行ったか。」については、採用時にはそのような調査は行っていない。

 また、「弁護士資格を持つ任期付職員の前職に対して、任意で関係先・取引先金融機関名を開示させる、又は、金融機関に対して関係先・取引先弁護士事務所等の開示を求める等を行う必要があるのではないか。」との御指摘については、金融庁等に在籍している弁護士資格を持つ任期付職員は、一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する法律に基づき採用しており、弁護士事務所等の他の事業者等との労務提供契約はなく、また、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第百条の規定により、職務上知ることのできた秘密を守る義務が課されている。

五について

 金融庁等においては、関係部局又は通報者に連絡を取り、通報の内容となる事実等をできる限り正確に把握した上で、御指摘の「公益通報進捗状況表」等に通報者等と連絡を取った日や「結論」等を記載しているところ、御指摘のような場合を含め、対応に問題があると考えられる場合には、「公益通報進捗状況表」等によって確認を行うこととしている。

 また、金融庁等が「公益通報進捗状況表」に「結論」を記載し始める前においても、「公益通報進捗状況表」等には進行管理の状況や、通報者等と連絡を取った日等を記録していたところである。

六について

 先の質問主意書(令和三年六月十一日提出質問第一〇三号)の六で示されていた「トレーサビリティ」については、その意味するところが明らかではなかったため、お答えすることは困難であるとしたところであり、「実質的な答弁拒否と考えられる」との御指摘は当たらないものと考えている。

七について

 御指摘の「金融庁等に弁護士資格を持つ任期付職員として採用された弁護士が任期終了後に、再度、金融機関と取引関係のある法律事務所等で勤務する場合、利益相反の防止及び公務員の守秘義務の観点から、その弁護士は、口外禁止条項若しくは、数年間、任期付職員として採用された行政機関の対応及び行政訴訟に関与することを禁止するように契約を締結するべきではないか。」については、国家公務員は、国家公務員法第百六条の四の規定により、離職後二年間、離職前五年間に在職していた局等組織の職員に対し、離職前五年間の職務に属する契約等事務に関し、職務上の行為をするように、又はしないように要求し、又は依頼することが禁止されているほか、同法第百条の規定により、その職を退いた後も含めて職務上知ることのできた秘密を守る義務が課されており、御指摘のような契約を締結する必要はないと考えている。

八について

 金融庁等に在籍している弁護士資格を持つ任期付職員は、一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する法律に基づき採用しており、弁護士事務所等の他の事業者等との労務提供契約はなく、「金融庁に出向」と弁護士事務所のウェブサイトで表記することについては、金融庁等に在籍している任期付職員に対して訂正を要請した結果、現時点で金融庁等に在籍している弁護士資格を持つ任期付職員について、そのような記載はないと認識している。