質問主意書

第205回国会(臨時会)

質問主意書

質問第四一号

インターネット上の世論操作と民主主義に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和三年十月十四日

田島 麻衣子


       参議院議長 山東 昭子 殿



   インターネット上の世論操作と民主主義に関する質問主意書

 表現活動は、民主政に資する社会的な価値(自己統治の価値)があるとされ、民主主義の前提である。

 そして有権者が、現職の議員や、次期選挙の候補予定者や候補者に対する正確な情報を得ることは、有権者の自由意思に基づく言論形成や投票行動を担保する上で重要である。

 しかし近時はインターネット等の技術発展により、表現活動の手法が増え、表現の受け手に強い印象を残す表現活動が容易になる一方で、弊害も多い。

 以上の問題意識に基づいて、質問する。

一 一般論として、政党、現職の議員、候補者又は候補予定者が、インターネット上で特定の議員・候補者・候補予定者(以下「者」という。)を事実に反して誹謗中傷したり、一定の期間「者」のホームページを閲覧できないようにしたり、また対価を提供して私人に対しインターネット上に特定の「者」を誹謗中傷する書き込みを依頼する行為が、博多駅事件最高裁大法廷判決で触れられている国民の知る権利や、憲法第十五条第三項の選挙権を侵害することがあるか。あるとすれば、それはどのような場合か。

二 憲法第十九条は形成された個人の思想や良心を保護する規定であると解されるところ、インターネット上の言論市場を歪ませかねない大きな財力と影響力を持つ者が、選挙で有利な立場を得る目的でインターネット上でマイクロターゲティングを行い、個人の認知傾向や自由な意思形成過程に過度な干渉が及ぶおそれがあると懸念される場合、憲法第十九条が保障する思想及び良心の自由が侵害されることがあるか。

三 一般論として、政党、現職の議員、候補者又は候補予定者が、インターネット上で特定の議員・候補者・候補予定者(以下「者」という。)を事実に反して誹謗中傷したり、一定の期間「者」のホームページを閲覧できないようにしたり、また対価を提供して私人に対しインターネット上に特定の「者」を誹謗中傷する書き込みを依頼する行為が、政党助成金を用いて行われた場合、政党助成法第四条第二項に違反することはあるか。違反する場合、同法第三十三条第一項に基づく総務大臣の返還命令の対象となることはあるか。あるとすれば、それはどのような場合か。

四 動画の一部を切り取ったり繋ぎ合わせたりすることにより動画を製作する行為は、確かに動画の断片は真実であるものの、動画全体を通してみた場合に、動画を見た者に客観的真実とは異なる印象を与えることができるが、一般論として、このような動画製作行為が、公職選挙法上、刑法上又は民法上の名誉毀損、侮辱や虚偽事項公表行為等に該当することがあるか。また、このような動画製作行為が前述の国民の知る権利や選挙権を侵害することがあるか。

  右質問する。