質問主意書

第205回国会(臨時会)

質問主意書

質問第三二号

北海道太平洋沿岸における漁業被害の調査と原因究明、救済に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和三年十月十二日

紙 智子


       参議院議長 山東 昭子 殿



   北海道太平洋沿岸における漁業被害の調査と原因究明、救済に関する質問主意書

 北海道の太平洋沿岸において秋サケやウニ(エゾバフンウニ)等が大量死し、コンブも変色・質が低下する漁業被害が発生している。

 被害は本年九月中旬以降、道東地域の釧路市、釧路町、白糠町、厚岸町、浜中町、根室市、十勝管内の浦幌町、豊頃町、大樹町、広尾町、日高管内のえりも町、様似町、浦河町と、広範な太平洋沿岸で発生している。

 私は十月三日に釧路沿岸地域に調査に入るとともに、漁業者、市町村議員から報告を受けたところ、秋サケは、十勝・釧路管内を中心に約一万九千六百尾がへい死、大樹町では養殖サクラマスの九割がへい死、ウニは、釧路市、釧路町、厚岸町、浜中町で八割から九割がへい死したとの報告を受けた。通常、コンブは茶色であるが、お湯をかけたように緑色に変色しており、乾燥させても黒くならず赤茶色や黄色になり、加工用にせざるを得ないほど質が低下している。

 道東地域での赤潮の発生は初めてのことである。今夏の海水温は二十度を超え、赤潮をつくる植物プランクトン「カレニア・ミキモトイ」が検出されたことから秋サケなどの魚類は赤潮による被害の可能性が高いが、ウニ、コンブについては明らかになっていない。また、初めて有害プランクトン「カレニア・セリフォルミス」が見つかったとの報道もある。

 持続可能な漁業を行うために資源管理に取り組んでいる漁業者にとって、漁の解禁日は希望と期待にあふれ胸躍る日であるだけに、過去にない突発的な被害で漁業者の思いはかなり衰弱し、自治体関係者もショックを受けている。

 それだけに、今後の漁業活動を継続するために、国の迅速な支援策などが求められているので、以下、質問する。

一 北海道道東地域で赤潮の発生は初めてで、本年九月中旬以降、漁業者が自前で調査を始めているが、国が秋サケやウニなど水産資源の大量死などの実態と原因究明、継続した海水のモニタリング調査や赤潮等が水産資源に与えている影響を解明することが早急に求められている。また、漁業者が自前で行った調査への支援も必要だと考えるが、見解を明らかにされたい。

二 漁業者は今年の収入源が絶たれて途方に暮れている。特にウニの被害は深刻で、本年十月一日に解禁日を迎えたが八割から九割の被害になると見込まれ、収入のめどが立たなくなった漁業者からウニ漁をやめるとの声が出ている。潜水ウニ漁は、稚貝を購入して四年から五年育てた後に漁をするが、すでに購入した稚貝の費用、潜水にかかる人件費などの支払が必要になる。海の中で育てている二年物、三年物のウニが被害を受けていれば、来年以降も収入が途絶えることになる。

 コンブ漁も品質が低下し、収入が激減するだけにとどまらず、来年以降に水揚げ予定の若いコンブに被害が及べば、胞子が根付かなくなり、元に戻るには三年から四年かかるといわれる。

 収入源が絶たれた漁業者への減収支援と今後を見通した再生産のための国の支援策について、それぞれ明らかにされたい。

三 北海道道東地域での赤潮被害は初めてのことであるが、西日本などで発生している赤潮被害に対する漁業者への国の支援策を明らかにされたい。

四 サケ、ウニ、コンブなど被害を受けた水産資源を増殖するための国の支援策を明らかにされたい。

  右質問する。