質問主意書

第205回国会(臨時会)

質問主意書

質問第二七号

永住許可申請に対する不適正な永住許可交付に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和三年十月八日

浜田 聡


       参議院議長 山東 昭子 殿



   永住許可申請に対する不適正な永住許可交付に関する質問主意書

 出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律案を審査した平成三十年十二月八日の参議院法務委員会において、永住許可申請に対して厳格に審査を行うべきとの附帯決議がなされている。しかし、令和三年七月、参議院行政監視委員会に、不適正な永住許可等があるとの苦情が申し立てられたとの報告が私のもとに届いている。当該苦情の内容は、「日本人の配偶者等」の在留資格を持つ外国人が在留期間更新許可申請と同時に永住許可申請を行う場合、一枚の身元保証書で両方の申請を出入国在留管理庁が受け付けているために、苦情の申立人である日本人配偶者から離婚を求められていた外国人が、在留期間更新許可申請を行うためと偽って当該日本人配偶者に身元保証書を作成してもらい、これを永住許可申請にも使用して永住許可を受けているというものであった。

 「日本人の配偶者等」の在留資格の審査については、入国・在留審査要領中の「在留資格の審査」(第十二編「在留資格」の第二十八節「日本人の配偶者等」中の「在留資格の審査」をいう。以下同じ。)において「夫婦の一方が離婚の意思を明確にしている場合」は在留期間六月と定めている。この規定は、日本人配偶者が外国人に対して離婚を求めている場合でも、当該外国人が日本人配偶者から身元保証書を受け取ることを前提としていると考えられる。

 以上を踏まえて、以下質問する。

一 出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」という。)における身元保証人の定義は何か。

二 「日本人の配偶者等」の在留資格をもって本邦に滞在する外国人が在留期間更新許可申請と同時に永住許可申請を行う場合、一枚の身元保証書で両方の申請を受け付けているというのは事実か。事実である場合、その手続きの法的根拠は何か。

三 永住許可申請の際に提出する書類の一つに資料転用願出書があるが、転用を認める資料に身元保証書は含まれるか。含まれる場合、出入国在留管理庁は身元保証人に対して身元保証書の転用の意思確認をどのようにして行っているか。

四 入管法施行規則第二十二条第一項第三号において、永住許可を申請しようとする外国人は「本邦に居住する身元保証人の身元保証書」を提出しなければならないと定められている。在留期間更新許可申請のための身元保証書が身元保証人の知らないうちに永住許可申請にも使用された場合、その身元保証書は永住許可申請の身元保証書として有効であるか。有効である場合、その法的根拠は何か。

五 入国・在留審査要領中の「在留資格の審査」において、「日本人の配偶者等」の在留資格について「夫婦の一方が離婚の意思を明確にしている場合」の在留期間は六月と定められているが、この規定は、外国人に対して離婚を求めている日本人配偶者が在留期間更新許可申請のための身元保証書を当該外国人に手交することを前提としたものか。

六 日本人配偶者から離婚を求められている外国人がその事実を秘したまま、在留期間更新許可申請のための身元保証書を永住許可申請にも使用し、在留期間更新許可申請と永住許可申請の両方を同時に行う可能性を出入国在留管理庁は想定しているか。想定している場合、出入国在留管理庁はそのような経緯でなされた永住許可申請を適正なものとして受け付けているか。

七 身元保証書には外国人が申請しようとする在留資格や在留期間を記載する欄はなく、各申請共通の書式となっている。紛失または汚損を理由にして複数枚の身元保証書を作成させる可能性もあるため、永住許可申請の身元保証書については独自の書式とし、永住許可申請のための身元保証書である旨を明記する必要があると考えるが、政府の見解如何。

 なお、本質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、転送から七日以内での答弁は求めない。国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内には答弁されたい。

  右質問する。