質問主意書

第205回国会(臨時会)

質問主意書

質問第二三号

岸田文雄内閣における「日本共産党と破壊活動防止法」に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和三年十月八日

鈴木 宗男


       参議院議長 山東 昭子 殿



   岸田文雄内閣における「日本共産党と破壊活動防止法」に関する質問主意書

 本年七月十五日に創立九十九年を迎え、八月四日に記念講演を行った日本共産党志位和夫委員長の発言を踏まえ、日本共産党と破壊活動防止法との関連について、質問する。

一 日本共産党の志位和夫委員長は本年八月四日に「日本共産党創立九十九周年記念講演会」で、次のように述べている。「ここで訴えたいのは、市民と野党の共闘の発展のためには、共闘に分断を持ち込み、破壊しようとする逆流を許さないことが不可欠だということです。共闘を分断・破壊するために、いま支配勢力が主要な手段としているのが、日本共産党に攻撃を集中することです。この間、国会で、日本共産党に対して「暴力革命の党」といった攻撃が、執拗に繰り返されてきました。わが党はその都度反論してきましたが、昨年二月十三日には、当時の安倍首相が、維新の会の議員の質問に答えて、衆院本会議の壇上から、「暴力革命の党」という悪罵を投げつけました。その内容は、すでに反論ずみの反共デマを繰り返しただけのものでしたが、首相自身が答弁したことの重大性を考え、私は、同日の記者会見で、断固抗議し、反論をくわえました。安倍前首相は、日本共産党がかつて「暴力主義的破壊活動を行った疑いがある」と答弁しました。しかしこれは事実にまったく反します。一九五〇年代に、当時のソ連、中国による干渉によって党中央委員会が解体され、党が分裂した時期に、分裂した一方の側に誤った方針・行動がありましたが、これは党が統一を回復したさいに明確に批判され、きっぱりと否定された問題であります。日本共産党は、「暴力主義的破壊活動」の方針なるものを、党の正規の方針として持ったり、実行したりしたことは、ただの一度もありません。これは私たちが繰り返し明確にのべてきたことです。さらに、安倍前首相は、「現在においても敵の出方論にたった暴力革命の方針に変更はない」と答弁しました。いったい私たちの綱領のどこを読んでいるのか。日本共産党は、社会変革の道すじにかかわって、過去の一時期に、「敵の出方」論という説明をしてきましたが、その内容は、(一)選挙で多数の支持を得て誕生した民主的政権に対して、反動勢力があれこれの不法な暴挙に出たさいには、国民とともに秩序維持のために必要な合法的措置をとる。(二)民主的政権ができる以前に反動勢力が民主主義を暴力的に破壊しようとした場合には、広範な国民世論を結集してこれを許さないというものです。それは、どんな場合でも、平和的・合法的に、社会変革の事業を進めるという日本共産党の一貫した立場を説明したものにほかなりません。これをもって「暴力革命」の「根拠」にするなどということは、まったく成り立つものではありません。なお、「敵の出方」という表現だけをとらえて、日本共産党が、あたかも平和的方針と非平和的方針という二つの方針をもっていて、相手の出方によっては非平和的方針をとるかのような、ねじ曲げた悪宣伝に使われるということで、この表現は、二〇〇四年の綱領改定後は使わないことにしています。」(二〇二一年八月六日(金)しんぶん赤旗「日本共産党創立九十九周年記念講演会 パンデミックと日本共産党の真価 志位和夫委員長の講演」より抜粋)と述べている。

 この日本共産党志位和夫委員長の発言を踏まえ、日本共産党をどのような政党と考えているか、岸田文雄内閣における政府の見解は如何。

二 私が令和二年六月三日に提出した「破壊活動防止法と日本共産党との関連に関する質問主意書」(第二百一回国会質問第一三五号)に対する答弁書(内閣参質二〇一第一三五号)及び令和三年六月二日に提出した「月刊「正論」七月号の公安調査庁次長横尾洋一氏と作家・元外務省主任分析官佐藤優氏の対談に関する質問主意書」(第二百四回国会質問第七九号)に対する答弁書(内閣参質二〇四第七九号)においても「日本共産党のいわゆる敵の出方論に立った暴力革命の方針に変更はない」、「日本国内において暴力主義的破壊活動を行った疑いがある」、「日本共産党は、現在においても、破壊活動防止法に基づく調査対象団体である」と述べられている。

 また、本年九月十四日の加藤勝信官房長官の記者会見でも「日本共産党の、いわゆる敵の出方論に立った暴力革命の方針に変更はないものと認識している」と述べている。

 安倍晋三内閣、菅義偉内閣での閣議決定でも再三明らかになっている日本共産党に対する政府の立場を踏まえ、岸田文雄内閣における政府の見解を明らかにされたい。

三 本年九月十四日の朝日新聞朝刊に「共産党、「敵の出方論」不使用を決定」という見出し記事で「共産党は、過去に使用した「敵の出方論」という表現について、今後は使わないことを八日の中央委員会総会で決めた。小池晃書記局長は十三日の記者会見で「二〇〇四年(の綱領改定)以降使っていないが、もう使わないことを明確にした。用語としては撤回したことになる」と述べた。」と出ている。

 日本共産党が「敵の出方論」という表現を使っていた二〇〇四年以前の日本共産党に対する政府の認識、また、日本共産党が綱領を改訂し、「敵の出方論」を使わなくなった二〇〇四年以降の政府の認識、更には「敵の出方論」という用語を撤回したという小池晃書記局長の記者会見での発言を踏まえた政府の認識をそれぞれ明らかにされたい。

  右質問する。