質問主意書

第205回国会(臨時会)

質問主意書

質問第一四号

ワクチン大規模接種の延長によってグランキューブ大阪の利用承認処分を撤回された者が、生じた損失の補償を求めること等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和三年十月五日

浜田 聡


       参議院議長 山東 昭子 殿



   ワクチン大規模接種の延長によってグランキューブ大阪の利用承認処分を撤回された者が、生じた損失の補償を求めること等に関する質問主意書

 令和三年九月二日、防衛省は同年九月二十五日頃までとしていた大阪府の自衛隊大規模接種センター(以下「大阪会場」という。)の運営期間を同年十一月三十日まで(以下「本件延長期間」という。)とすることとした(以下「本件政府決定」という。)。これを受け、グランキューブ大阪(大阪府立国際会議場条例(平成十一年三月十九日大阪府条例第三号。以下「本件条例」という。)第一条に規定する大阪府立国際会議場をいう。以下「本件会議場」という。)の本件指定管理者(本件条例第四条に規定する指定管理者をいう。以下同じ。)は同年九月十日、会議場全館利用不能な旨を本件使用権者ら(本件条例第三条に規定する利用の承認を、本件延長期間中の日時と重なる日時において受けたものをいう。以下同じ。)に通知した(以下、この通知の後、本件指定管理者が本件使用権者らに対し、本件会議場の使用許可を撤回したことを「本件撤回」という。)。一方、本件会議場の一部の利用者はホームページ上で「六月十九日(土)、二十日(日)に開催予定でしたが、突如会場がワクチン接種会場になるという報道を受けて延期となりました。この十一月二十日(土)、二十一日(日)は会場側から提案を頂いた日程でした。九月二日(木)にワクチン接種会場としての利用が再延長となり十一月末日まで継続される旨が会場側のホームページ上で発表されました。主催者・アーティスト側に事前の報告もないまま発表されたことは杜撰な対応且つ、誠に遺憾であり、我々も非常に困惑しております」と発表し(以下、この発表をした者を「本件使用権者」という。)、同年十一月二十日から同月二十一日に開催予定の催事の中止を発表した。

 右を踏まえて、以下質問する。

一 現時点で、使用権者らのうち、実際に大阪府に対し、本件撤回によって生じた損失につきその補償を求めた者はいるか。

二 昭和四十九年二月五日最高裁判所第三小法廷判決や昭和四十四年三月二十七日東京高裁判決中最高裁判決によって取り消されなかった部分を踏まえると、大阪府は、本件撤回の対象となった本件使用権者らに対して、本件会議場の利用料のみならず、もし本件撤回がなければ得られるはずであった利益を喪失したという消極的損害をも賠償する立場にあると考えるが、政府の見解如何。

三 政府が交付した「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」は、地方自治体が新型コロナウイルス感染症対策に係る公用若しくは公共用に供するため、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百三十八条の四第九項の規定に従い、行政財産の使用権を撤回した場合における、使用権者が求める求償に充当することができるか。

四 本件政府決定自体は、行政処分か。行政処分である場合、処分の相手方は誰か。

五 本件延期期間中の大阪会場の選定について

1 本件使用権者は「この十一月二十日(土)、二十一日(日)は会場側から提案を頂いた日程でした」と述べているが、政府・大阪府・本件指定管理者は本件使用権者に対し、本件政府決定以前に、本件延長期間中に本件会議場が利用可能である旨を伝えたか。

2 本件使用権者は「主催者・アーティスト側に事前の報告もないまま発表されたことは杜撰な対応且つ、誠に遺憾」と述べているが、本件使用権者らに対し、政府・大阪府・指定管理者は令和三年九月二日以前に本件政府決定を行う旨を連絡したか。

 なお、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第四十六条は「地方公共団体は、第三条第三項において第二章から前章までの規定を適用しないこととされた処分、行政指導及び届出並びに命令等を定める行為に関する手続について、この法律の規定の趣旨にのっとり、行政運営における公正の確保と透明性の向上を図るため必要な措置を講ずるよう努めなければならない」とし、これを受け、大阪府行政手続条例(平成七年三月十七日大阪府条例第二号)第十三条第一項第一号イは、許認可等を取り消す不利益処分をしようとするときは、聴聞をしなければならないと定められている。

3 法的根拠があるからといって、被処分者に非がない受益的行政処分の撤回はむやみやたらに行うべきではなく、まして本件使用権者は「この十一月二十日(土)、二十一日(日)は会場側から提案を頂いた日程でした」と述べているのであるから、その信用を裏切ることは信義則にも反する。政府・大阪府は本件延長期間の大阪会場について、本件会議場以外の場所に設置することを検討したか。また、政府・大阪府・指定管理者は本件政府決定や本件撤回に際し、事前に本件使用権者らの合意を得ることが望ましいと考えるが、政府の見解如何。

4 本件使用権者らに対し、本件会議場の使用許可処分を撤回できるのは、大阪府及び本件指定管理者のみであり、政府ではない。政府は、なぜ本件撤回が行われる前に、本件決定を公表したのか。本件会議場の使用権が誰に存在するかという法的安定性の観点からすれば、政府は、本件撤回を待ってから本件政府決定を公表すべきではなかったかと考えるが、政府の見解如何。

六 三回目のワクチン接種の際の大阪会場の在り方について

1 厚生労働省は第八回新型コロナウイルスワクチンの接種体制確保に係る自治体向け説明会において、自治体に追加接種の体制確保を依頼した。政府は追加接種の際、大阪会場の設置を検討しているか。

2 政府は令和三年十二月一日以降に、本件会場の使用許可処分を受けた者が存在することを把握しているか。

3 本件会議場は、本来は「府民に開かれた国際交流の拠点として、学術、芸術及び産業の振興に資する集会及び催物の場を提供し、もって大阪の文化及び経済の発展に寄与するため」(本件条例第一条)に設置されている。前記五の1が真の場合、政府は大阪会場について、追加接種においては本件会議場以外の場所に設置することを含めて検討すべきと考えるが、政府の見解如何。

七 確かに、本件決定によって、大阪府をはじめとする近隣自治体のワクチン接種は急速に進んだ。このこともあってか、大阪府下における新型コロナウイルス感染症の新規感染者数、重症病棟使用率は劇的に改善した。これによって大阪府は、新型コロナウイルス感染症の流行が収まらなかった場合における対策費用を支払わずに済んだという点においては、本件政府決定の受益者とみなすこともできるであろう。しかしながら、大阪府は、政府の施策であるワクチン接種の普及というミッションを、政府単独では関西地方においてこれを行うに適した施設を確保できないことに対して、本件使用権者らに対する本件会議場の使用許可処分を撤回するという苦渋の決断をしてまで、政府を助けた立場でもある。政府の施策を、政府の方針に従って協力した大阪府に対し、法の立て付けがそうなっているからという一事をもって、本件使用権者らが、本件撤回に対して行う求償を、知らぬ存ぜぬで押し通すというのは、あまりにも冷たい。

 政府は、本件使用権者らが大阪府に対して行う求償について、その一部または全部に対し、適当な財政的措置を行うべきではないか。政府の見解如何。

 なお、本質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、転送から七日以内での答弁は求めない。国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内には答弁されたい。

  右質問する。