質問主意書

第204回国会(常会)

答弁書


内閣参質二〇四第一三二号
  令和三年六月二十九日
内閣総理大臣 菅 義偉


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員小西洋之君提出重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律の解釈に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員小西洋之君提出重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律の解釈に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの「警察庁の所在地である霞ヶ関の中央合同庁舎第二号館など全国の警察施設」(以下「警察施設」という。)は、重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律(令和三年法律第八十四号。以下「法」という。)第二条第二項第一号に規定する防衛関係施設及び同項第二号に規定する海上保安庁の施設に該当せず、また、法第二条第二項第三号においては、国民生活に関連を有する施設であって、その機能を阻害する行為が行われた場合に国民の生命、身体又は財産に重大な被害が生ずるおそれがあると認められるもので政令で定めるものを生活関連施設として規定しているところ、この「国民生活に関連を有する施設」とは、国民生活に直接関連を有する施設を意味するものであり、警察施設はこれに該当しない。

二、三、五及び六について

 法第六条に規定する土地等利用状況調査、法第七条第一項の規定による情報の提供の求め及び法第八条の規定による報告又は資料の提出の求めは、内閣総理大臣が行うこととされており、お尋ねの「防衛省が本法第六条に規定する現地・現況調査を行う」ことはない。

四について

 法第九条第一項の規定による勧告又は同条第二項の規定による命令(以下「勧告等」という。)は、注視区域内にある土地等の利用者(法第四条第二項第四号に規定する利用者をいう。以下同じ。)でない者に対して行うことはできないものの、例えば、お尋ねの「自衛隊施設等の一キロメートル圏内において不動産の所有・賃貸をしていない者」(以下「無権原者」という。)が、注視区域内にある土地等の利用者の同意を得て、当該土地等を重要施設の施設機能又は国境離島等の離島機能を阻害する行為の用に供している場合には、内閣総理大臣は、当該利用者に対し、当該土地等を当該無権原者に利用させることを中止するよう勧告等を行うことができる。

七及び八について

 法第二十二条においては、内閣総理大臣が、法の目的を達成するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長及び地方公共団体の長その他の執行機関(以下「関係行政機関の長等」という。)に対し、資料の提供、意見の開陳その他の協力を求めることができる旨を規定しているところ、内閣総理大臣が、同条に基づき、いかなる関係行政機関の長等にいかなる協力を要請するかは、個別具体的な状況に即して判断されるものであり、一概にお答えすることは困難であるが、同条において、協力を求めることができる関係行政機関の長等は制限されていない。また、一般論として、内閣総理大臣が、関係省庁の協力を得つつ分析を行う場合に、法に基づく調査により収集した情報を、その関係行政機関の長等に提供することはあり得ると考えている。

九について

 お尋ねの「自衛隊を、国民を守る自衛隊から国民を調査・監視する自衛隊に変えてしまう」の意味するところが必ずしも明らかではないが、法は、防衛省設置法(昭和二十九年法律第百六十四号)及び自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)に定められた防衛省・自衛隊の任務等を変えるものではない。