質問主意書

第204回国会(常会)

答弁書


内閣参質二〇四第一二五号
  令和三年六月二十九日
内閣総理大臣 菅 義偉


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員牧山ひろえ君提出ヤングケアラーの実態に関する調査研究報告書に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員牧山ひろえ君提出ヤングケアラーの実態に関する調査研究報告書に関する質問に対する答弁書

一及び三について

 お尋ねについては、「全国的な実態調査」の必要性を精査し、「次回以降は小学生も調査対象とすべき」との御指摘も踏まえて、引き続き検討してまいりたい。

二について

 「国は自治体によるヤングケアラーの実態調査を後押しすべき」との御指摘については、令和三年五月十七日に厚生労働省及び文部科学省がとりまとめた「ヤングケアラーの支援に向けた福祉・介護・医療・教育の連携プロジェクトチーム報告」(以下「プロジェクトチーム報告」という。)において、「それぞれの地域でヤングケアラーに対する支援を適切に行うとともに、ヤングケアラーに関する問題意識を喚起するためには、地方自治体単位で実態調査を行うことが有効である。例えば、埼玉県においては、既に実態調査が行われているが、国は、こうした取組の全国展開を推進する」としているとおり、政府としては、地方公共団体における実態調査の取組を推進してまいりたい。

四について

 「「子どもを介護力として位置付けない」ための基準」の具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。なお、政府としては、例えば、介護サービスについては、プロジェクトチーム報告において示した「ヤングケアラーがケアする場合のその家族に対するアセスメントの留意点等」について、令和三年度老人保健事業推進費等補助金による「介護支援専門員の資質向上に資する研修等のあり方に関する調査研究事業」における調査研究において検討を進めることとしており、障害福祉サービスについては、プロジェクトチーム報告において「子どもらしい暮らしが奪われることのないよう、家族へのケアに係る負担を軽減又は解消するため、世帯全体を支援する視点を持って福祉サービス等の利用申請の勧奨やケアプラン等の作成が行われることが必要である」と示していることを踏まえ、ヤングケアラーの負担等に配慮した上で障害福祉サービスの支給決定を行うよう地方公共団体や関係団体に周知する予定であり、「子どもを「介護力」とすることを前提」としない取組を進めてまいりたい。

五について

 「広く関係者・関係団体を巻き込んでいくことも検討すべき」との御指摘の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、プロジェクトチーム報告において、「国は、ヤングケアラーを発見・把握した場合に、高齢、障害、疾病、失業、生活困窮、ひとり親家庭といった家庭の状況に応じ、適切なサービスにつなげられるよう、・・・多機関連携によるヤングケアラーへの支援の在り方についてモデル事業を実施し、その成果をマニュアル等にまとめ周知を行う」としているとおり、政府としては、今後当該マニュアル等の具体的内容について検討してまいりたい。

六について

 現在、政府としては、貧困の状況にある子供を把握し必要な支援につなげるため、御指摘の点も含め、地方公共団体において教育や福祉等に関する情報を一元的に把握・管理するデータベースの在り方について検討しているところであり、当該データベースの対象とする子供の学習や生活の状況等に関する情報等について引き続き検討してまいりたい。