質問主意書

第204回国会(常会)

答弁書


内閣参質二〇四第一一六号
  令和三年六月二十五日
内閣総理大臣 菅 義偉


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員紙智子君提出日本軍「慰安婦」関連文書に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員紙智子君提出日本軍「慰安婦」関連文書に関する質問に対する答弁書

一について

 御指摘の「長崎地裁及び長崎控訴院における国外移送誘拐被告事件判決概要」(以下「国外移送誘拐被告事件判決概要」という。)については、令和三年三月三十一日に、法務省から内閣官房に対して提出されたものである。

二について

 法務省から内閣官房に対して国外移送誘拐被告事件判決概要が提出されるに当たり、法務省と内閣官房との間で、提出先の宛名等について事務的なやり取りを行っている。また、当該やり取りについての文書は存在しない。

三について

 国外移送誘拐被告事件判決概要は、法務省が、平成二十六年八月、国会議員からの要求に応じて、「長崎地裁及び長崎控訴院における国外移送誘拐被告事件判決概要」という題名の資料として作成し、行政文書として保存していたものであるが、令和三年三月三十一日に、所要の検討の結果、慰安婦問題に関連する文書として、法務省が内閣官房に提出したものである。

四について

 国外移送誘拐被告事件判決概要には、長崎控訴院が認定した犯罪事実の概要として、御指摘の記述とおおむね同様の内容が記載されている。

五について

 御指摘の「この国外移送誘拐被告事件の判決」が具体的に何を指すのか必ずしも明らかではないが、国外移送誘拐被告事件判決概要には、被告人三名を各懲役三年六月に、被告人二名を各懲役二年六月に、被告人二名を各懲役二年に、被告人三名を各懲役一年六月に処するとともに、懲役一年六月に処する被告人三名に対しては、三年間その刑の執行を猶予するという長崎地方裁判所判決、同裁判所が懲役三年六月に処した被告人三名を各懲役二年六月に、同裁判所が懲役二年六月に処した被告人二名及び懲役二年に処した被告人二名を各懲役二年に処し、同裁判所が懲役一年六月に処するとともに三年間その刑の執行を猶予した被告人一名を懲役一年六月に処するとともに三年間その刑の執行を猶予するという長崎控訴院判決が記載されているが、同裁判所及び同控訴院がそれぞれ適用した罰条については、法務省として、当該適用した罰条が記載された行政文書を保有しておらず、お答えすることは困難である。

六について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、国外移送誘拐被告事件判決概要については、三についてで答弁した国会議員からの要求が、長崎地方裁判所及び長崎控訴院の判決概要を示すことであったため、御指摘の「上告審の内容」は含まれていないところである。

七及び九について

 政府の基本的立場は、平成五年八月四日の内閣官房長官談話を継承しているというものである。政府としては、これまで、平成四年七月六日と平成五年八月四日の二度にわたり、慰安婦問題に関する調査結果を発表したが、事柄の性質上、その後も新しい資料が発見される可能性はあることから、そのような場合には、関係省庁等に対して内閣官房に報告をするよう求めているところである。また、収集した資料は内閣官房副長官補付において保管し、関係業務の用に供している。

八について

 平成四年七月六日及び平成五年八月四日の二度にわたり公表された政府による慰安婦問題に関する調査において、関係省庁等から内閣官房に対して提出された当時の公文書等の資料の中には、第十五師団軍医部作成の「昭和十八年一月自一日至三十一日衛生業務要報」等、御指摘の「特殊慰安婦」との用語が用いられているものがある。

十について

 行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成十一年法律第四十二号)に基づく開示請求がなされた場合等に、該当する資料の開示を行っている。