質問主意書

第204回国会(常会)

答弁書


内閣参質二〇四第一一一号
  令和三年六月二十五日
内閣総理大臣 菅 義偉


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員紙智子君提出「GABA(ギャバ)トマト」等のゲノム編集技術によって開発された動植物・魚類に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員紙智子君提出「GABA(ギャバ)トマト」等のゲノム編集技術によって開発された動植物・魚類に関する質問に対する答弁書

一について

 サナテックシード株式会社が開発したグルタミン酸脱炭酸酵素遺伝子の一部を改変してGABA含有量を高めたトマト(以下「GABAトマト」という。)について、「ゲノム編集技術応用食品及び添加物の食品衛生上の取扱要領」(令和元年九月十九日厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官決定。以下「食品取扱要領」という。)四の(三)に基づく厚生労働省への届出、「農林水産分野におけるゲノム編集技術の利用により得られた生物の生物多様性影響に関する情報提供等の具体的な手続について」(令和元年十月九日付け元消安第二千七百四十三号農林水産省消費・安全局長通知。以下「生物利用通知」という。)第三の一の(二)に基づく農林水産省への情報提供書の提出及び「ゲノム編集飼料及び飼料添加物の飼料安全上の取扱要領」(令和二年二月七日付け元消安第四千六百五号農林水産省消費・安全局長通知。以下「飼料取扱要領」という。)四の(三)に基づく同省への届出(以下「厚生労働省への届出等」と総称する。)は、令和二年十二月十一日に行われ、同日にこれらを受け付けた。なお、同日の厚生労働省への届出等を受け付けた時刻については、記録しておらず、把握していない。

二及び三について

 サナテックシード株式会社が、「家庭菜園」用にGABAトマトの苗を「無償配布」したことについては、政府としては、法令に基づいて「認め」る権限はなく、このような民間企業の活動に係る事項については、政府としてお答えする立場にない。また、お尋ねの「事前相談において政府に提出された文書・資料等」が、食品取扱要領四の(一)に基づく事前相談、生物利用通知第三の一の(一)に基づく事前相談及び飼料取扱要領四の(一)に基づく事前相談において政府に提出された「文書・資料等」を指すのであれば、これらは、公にすることにより、「開発企業」の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあることから、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成十一年法律第四十二号)第五条第二号イに該当すると考えられることを踏まえ、これらを明らかにすることは差し控えたい。

四について

 前段のお尋ねについては、お尋ねの「栽培トマトの野生化実態調査件数」の意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難である。また、後段のお尋ねについては、政府としては、GABAトマトの食品としての安全性や生物多様性への影響に問題がないことを確認し、その旨公表しているところであり、「全国のトマト農家が風評被害に苦しむことになるのではないか」との御指摘は当たらないものと考えている。

五について

 御指摘の「国民的な合意」の意味するところが必ずしも明らかではないが、GABAトマトに係る厚生労働省への届出等は、食品取扱要領、生物利用通知及び飼料取扱要領(以下「食品取扱要領等」という。)に基づいて行われたものであり、また、食品取扱要領等については、厚生労働省薬事・食品衛生審議会、農林水産省農業資材審議会及び環境省中央環境審議会における科学的な知見に基づく検討の結果を踏まえるとともに、パブリックコメントを実施し、策定したものである。

六について

 お尋ねの「ゲノム編集技術を用いて開発した」及び「すでに市場に流通している」の意味するところが必ずしも明らかではないが、厚生労働省への届出等が行われた「動植物・魚介類」は、一についてでお答えしたGABAトマトのみである。

七について

 お尋ねの「商品化にあたって国と開発企業の協議内容、文書・資料等」が、厚生労働省への届出等の「協議内容、文書・資料等」を指すのであれば、厚生労働省又は農林水産省のホームページにおいて食品取扱要領等に基づき公表する情報を除き、これらは、公にすることにより、「開発企業」の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあることから、行政機関の保有する情報の公開に関する法律第五条第二号イに該当すると考えられることを踏まえ、これらを明らかにすることは差し控えたい。