質問主意書

第204回国会(常会)

答弁書


内閣参質二〇四第一〇三号
  令和三年六月二十五日
内閣総理大臣 菅 義偉


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員浜田聡君提出金融庁法令等遵守調査室のメンバーの選出・任命に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員浜田聡君提出金融庁法令等遵守調査室のメンバーの選出・任命に関する質問に対する答弁書

一について

 「公益通報者保護法を踏まえた国の行政機関の通報対応に関するガイドライン(内部の職員等からの通報)」(平成十七年七月十九日関係省庁申合せ)に基づき御質問を受けているが、「日本生命保険相互会社から金銭的な利益供与を受けている弁護士の事務所から選出された人物が日本生命保険相互会社の不正を調査する可能性があるなど、重大な利益相反関係といえる」との御指摘を踏まえると、「公益通報者保護法を踏まえた国の行政機関の通報対応に関するガイドライン(外部の労働者等からの通報)」(平成十七年七月十九日関係省庁申合せ)に基づきお答えすべきものと考えられることから、以下、これを前提としてお答えすることとする。

 お尋ねの「「利益相反関係」、「自らが関係する通報事案」とは具体的にどのような関係を想定しているか」については、例えば、通報受付担当者、調査担当者等の通報事案への対応に関与する者が、法令違反行為を行った当事者である、法令違反行為の意思決定に関与した、法令違反行為を行った者と親族であった等の場合がこれに当たり得る。

 また、お尋ねの「どの程度の関係であれば利益相反にないと判断しているのか」については、個別の事案ごとに金融庁及び証券取引等監視委員会(以下「金融庁等」という。)において判断すべきものであり、一概にお答えすることは困難である。

 さらに、「行政指導等が開示されている事件」についてのお尋ねについては、その意味するところが明らかではないことから、お答えすることは困難である。

二について

 金融庁等において弁護士資格を持つ者を職員として採用するに当たっては、人事院規則八―一二(職員の任免)等の関係法令にのっとり、広く募集を行い任期付職員として採用していることから、「弁護士事務所等から、金融庁及び証券取引等監視委員会に出向している弁護士」との御指摘は当たらず、「弁護士事務所等から、金融庁及び証券取引等監視委員会に出向している弁護士が公益通報内容の審査や金融機関に対する調査等を担当すること」はないと考えている。

三について

 お尋ねの趣旨が明らかではないことから、お答えすることは困難である。

四について

 利益相反関係を有していないかどうかの確認については、公益通報を受理するかを検討する段階において、通報事案への対応に関与する者に対して通報事案との関係を自己申告させるとともに、過去の勤務経歴等の確認を通じて、個別の事案ごとに金融庁等において確認を行っている。

 また、金融庁等において弁護士資格を持つ者を職員として採用するに当たっては、人事院規則八―一二(職員の任免)等の関係法令にのっとり、広く募集を行い任期付職員として採用していることから、「法令等遵守調査室に、大手金融機関の弁護士がいる」との御指摘は当たらないものと考えている。

五について

 公益通報者保護法(平成十六年法律第百二十二号)においては、議事録の作成は求められておらず、議事録の作成は行っていないが、金融庁等において、関係部局又は通報者に連絡を取り、通報の内容となる事実等をできる限り正確に把握しており、「公益通報進捗状況表」等において通報者等と連絡を取った日や結論等を記載しており、過去の対応状況を把握していると考えている。

六について

 お尋ねの「トレーサビリティ」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。

七について

 通報への対応に係る記録及び関係文書については、アクセス制限を設定すること、法令等遵守調査室の会議への出席者を限定することなどにより、担当者以外の者が取り扱うことができないように管理している。

 また、お尋ねの「内部情報及び公益通報事案等に関する口外禁止条項等を書面で締結しているか」については、金融庁等において弁護士資格を持つ者を職員として採用するに当たっては、人事院規則八―一二(職員の任免)等の関係法令にのっとり、広く募集を行い任期付職員として採用していることから、「弁護士の事務所から出向してきた弁護士」との御指摘は当たらず、また、国家公務員には、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第百条の規定により、退職後も含めて職務上知ることのできた秘密を守る義務が課されており、御指摘のような書面を締結する必要はないと考えている。

八について

 金融庁等において弁護士資格を持つ者を職員として採用するに当たっては、人事院規則八―一二(職員の任免)等の関係法令にのっとり、広く募集を行い任期付職員として採用していることから、「弁護士事務所等から弁護士の出向を受け入れる」ことはなく、前段のお尋ねにお答えすることは困難である。

 また、後段のお尋ねについては、「官僚・検事総長の天下り先や大手金融機関と関係のある弁護士の事務所ばかりから選出されている」の意味するところが必ずしも明らかではないが、職員の採用に当たっては、人事院規則等にのっとった適正な手続を通じて、募集する官職に係る能力及び適性があると認められる者を採用している。