第204回国会(常会)
内閣参質二〇四第八九号 令和三年六月十八日 内閣総理大臣 菅 義偉
参議院議長 山東 昭子 殿 参議院議員牧山ひろえ君提出相続土地国庫帰属制度に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員牧山ひろえ君提出相続土地国庫帰属制度に関する質問に対する答弁書 一について お尋ねの「対象となる「相続」に期間的な制限はあるか。」の意味するところが必ずしも明らかでないが、相続土地国庫帰属制度(相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律(令和三年法律第二十五号。以下「法」という。)第一条に規定する制度をいう。以下同じ。)においては、相続により土地の所有権を取得した者は、その土地の所有権を国庫に帰属させることについての承認を申請することができるところ、その相続が開始される時期について特段の定めはない。 二について お尋ねの負担金の額については、国有地の種目ごとにその管理に要する十年分の標準的な費用の額を考慮して、政令で算定方法を定めることとされている。政令においては、土地の地目、面積、周辺状況等に応じた計算式等を規定するなどして負担金の額の算定方法を定めることを想定しているが、その具体的内容については現在検討中であり、お尋ねの目安となる負担金の額も含めて、現時点でお答えすることは困難である。 三について お尋ねの手数料については、物価の状況、承認申請に対する審査に要する実費その他一切の事情を考慮して政令で定めることとされているが、その具体的内容については現在検討中であり、現時点でお答えすることは困難である。 四について 令和二年に法務省が実施したアンケート調査においては、調査対象とされた土地を所有する世帯のうち約二十パーセントが土地を手放して国庫に帰属させる制度の利用を希望すると回答しているものの、この調査は相続土地国庫帰属制度の内容を前提とした調査ではないことから、現時点で、相続土地国庫帰属制度が国民にどの程度利用されるかについて、具体的な見込みをお示しすることは困難である。 また、相続土地国庫帰属制度においては、承認申請が法に定める要件を満たしている場合には、法務大臣は、土地の所有権の国庫への帰属についての承認をしなければならないものとされており、制度の利用が多いことを理由としてその承認をしないこととすることはできない。 五について お尋ねの法第五条第一項第五号に規定する「通常の管理又は処分をするに当たり過分の費用又は労力を要する土地」に該当するものとしては、例えば、その形状等に鑑みて、その土地に立ち入った者等の生命又は身体に危険が及ぶおそれがあり、その危険を防止するための工事が必要となるような土地を想定しているが、その具体的内容については現在検討中であり、現時点でお答えすることは困難である。 また、後段のお尋ねについては、「その判断の基準」の意味するところが明らかでなく、お答えすることは困難である。 いずれにせよ、お尋ねの土地が具体的にどのような土地であるかは、政令において定めることとされているものである。 六について 相続土地国庫帰属制度については、所有者不明土地の発生を抑制する観点から、国民に向けて幅広く周知をすることが重要であると考えており、関係機関等と連携しつつ、説明会の開催、パンフレットの配布、ホームページを利用した広報などを通じて、国民への十分な周知に努めてまいりたい。 |