質問主意書

第204回国会(常会)

答弁書


内閣参質二〇四第八四号
  令和三年六月十八日
内閣総理大臣 菅 義偉


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員福島みずほ君提出六ケ所再処理工場アクティブ試験等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員福島みずほ君提出六ケ所再処理工場アクティブ試験等に関する質問に対する答弁書

一について

 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号。以下「原子炉等規制法」という。)第四十七条及び使用済燃料の再処理の事業に関する規則(昭和四十六年総理府令第十号。以下「再処理規則」という。)第八条の規定により、再処理事業者は、ガラス固化体等を廃棄施設に廃棄した都度、当該ガラス固化体等に含まれる放射性物質の数量等を記録し、これを保存しておかなければならないこととされているが、放射性物質の放射能量について公表すべきこととはされておらず、公表の要否については、再処理事業者が個別に判断すべきものと考えている。

二について

 お尋ねの「BWR使用済燃料を約四・五トン再処理した場合の回収率」の意味するところが必ずしも明らかではないが、日本原燃株式会社(以下「日本原燃」という。)がフランス企業から導入した技術を用いて得られたウラン、プルトニウムの回収率等に係る情報等については、民間企業の商業上の秘密に関することであり、政府としてお答えすることは差し控えたい。

三について

 再処理施設の技術基準に関する規則(令和二年原子力規制委員会規則第九号。以下「技術基準規則」という。)は、技術上の基準として安全上必要な事項を定めるものであることから、お尋ねの「福島第一原発事故前の再処理規則第六条の二(性能の技術上の基準)の第七項目」に規定されていた製品の回収率については規定していない。

四の1について

 原子力規制委員会では平成二十五年十二月から適用された再処理規則及び再処理施設の位置、構造及び設備の基準に関する規則(平成二十五年原子力規制委員会規則第二十七号)等に定める基準に係る適合性審査を行っており、高レベル廃液ガラス固化建屋ガラス溶融炉の性能に係る使用前検査は実施していない。

 なお、お尋ねの「終了報告書」は、日本原燃が同年七月二十六日に提出した「再処理施設アクティブ試験におけるガラス固化試験結果等に係る報告について」と考えられるが、平成二十二年十二月十日付けの経済産業省原子力安全・保安院(当時)(以下「保安院」という。)文書「「再処理施設高レベル廃液ガラス固化建屋 ガラス溶融炉運転方法の改善検討結果について」について」を受けて、日本原燃が保安院に提出したものである。

四の2及び五について

 原子力利用における安全対策の強化のための核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律等の一部を改正する法律(平成二十九年法律第十五号)第三条の規定による原子炉等規制法第四十六条第一項の改正により、原子力規制委員会による検査(使用前検査)が使用前事業者検査へ改められたが、同条第三項において、使用前事業者検査についての原子力規制検査により、設置又は変更の工事が認可された設計及び工事の計画に従って行われたものであること並びに原子炉等規制法第四十六条の二の技術上の基準に適合するものであることについて同委員会の確認を受けた後でなければ、再処理事業者は再処理施設を使用してはならないこととしている。

 現在、同委員会において、令和二年十二月二十四日付けで日本原燃が認可を申請した再処理施設に係る設計及び工事の計画の審査を行っているところであるが、同年六月二十四日に開催された令和二年度第十二回原子力規制委員会において、日本原燃再処理施設に係る設計及び工事の計画の認可の審査、使用前事業者検査の確認等の進め方を議論した結果を踏まえ、原子力規制委員会は審査の中で、御指摘の「実廃液を使用し、動作確認を含む」ガラス溶融炉の動作の確認方法等、日本原燃が実施する使用前事業者検査の実施方針等について確認することとしている。

 原子力規制委員会設置法の一部の施行に伴う関係規則の整備等に関する規則(平成二十五年原子力規制委員会規則第十六号)第七条の規定による改正前の再処理規則第六条の二第六号及び第七号に規定されていた製品中の原子核分裂生成物の含有率や製品の回収率は、技術基準規則に規定されておらず、お尋ねの「製品中の原子核分裂生成物の含有率測定検査」及び「製品の回収率測定検査」について、日本原燃が実施する使用前事業者検査で適合性確認を求めるものではない。

 なお、お尋ねの「法律との整合性」が、どの検査についての原子炉等規制法との整合性を指すのか明らかではないが、同委員会は原子炉等規制法に従い適切に対応している。

六及び七について

 お尋ねの「ガラス固化は失敗だったこと」及び「ガラス固化の成否」の具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。

八について

 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構の核燃料サイクル工学研究所再処理施設では、高レベル廃液のガラス固化体を、お尋ねの「LFCM方式」で三百十六本(令和三年三月末現在)製造した実績があるが、いずれにせよ、ガラス固化体の製造方法については、まずは事業者が判断するものと考えている。