質問主意書

第204回国会(常会)

答弁書


内閣参質二〇四第八三号
  令和三年六月十五日
内閣総理大臣 菅 義偉


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員鈴木宗男君提出本年五月二十八日に北海道稚内沖でロシア国境警備局に拿捕された「第一七二栄宝丸」に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員鈴木宗男君提出本年五月二十八日に北海道稚内沖でロシア国境警備局に拿捕された「第一七二栄宝丸」に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの「国際海峡」の意味するところが必ずしも明らかではないが、宗谷海峡は、海洋法に関する国際連合条約(平成八年条約第六号。以下「国連海洋法条約」という。)第三部に規定する国際航行に使用されている海峡に該当すると考えられる。

二について

 お尋ねの「日露間における稚内沖での国境」の意味するところが必ずしも明らかではないが、宗谷海峡における日露両国の領海についてのお尋ねであれば、我が国は、宗谷海峡における領海の幅を三海里としており、日露両国の領海は接していない。

三から五までについて

 お尋ねの「日本側が考える稚内沖における中間ライン、操業区域」、「稚内沖における日本の排他的経済水域(EEZ)内」及び「日本側が主張する中間ライン」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。

 その上で申し上げれば、沿岸国は、当該沿岸国及び当該沿岸国の海岸と向かい合っている海岸を有する他国のそれぞれの領海の幅を測定するための基線(以下「領海基線」という。)の間の距離が四百海里未満の場合、当該他国との間における排他的経済水域の境界画定について当該他国との合意に達するまでの間、国連海洋法条約第五十七条を含む関連する国際法に基づき、当該沿岸国の領海基線から二百海里までの排他的経済水域についての権原を有する。我が国は、関連する国際法に基づく当該権原を踏まえ、排他的経済水域及び大陸棚に関する法律(平成八年法律第七十四号)第一条において、我が国が国連海洋法条約に定めるところにより国連海洋法条約第五部に規定する沿岸国の主権的権利その他の権利を行使する水域である排他的経済水域を定めている。なお、同法の規定は、我が国及び我が国の海岸と向かい合っている海岸を有する外国のそれぞれの領海基線の間の距離が四百海里未満の場合、当該外国との間における排他的経済水域の境界画定について我が国が当該外国と合意に達するまでの間、我が国の領海基線から二百海里までの排他的経済水域について我が国が関連する国際法に基づき有する権原に何ら影響を与えるものではない。

 また、漁業法等の一部を改正する等の法律(平成三十年法律第九十五号)附則第八条第一項の規定により漁業法(昭和二十四年法律第二百六十七号)第三十六条第一項の許可を受けたものとみなされた「第百七十二榮寶丸」の同法第四十二条第一項に規定する操業区域は、東経百五十二度五十九分四十六秒の線以西のオホーツク海の海域及び北海道松前郡松前町白神岬突端正西の線以北の日本海の海域である。

 政府としては、関係者の説明も踏まえて総合的に分析し、今般の事案発生時、「第百七十二榮寶丸」は、我が国の排他的経済水域内かつ操業区域内で操業していたと判断している。

六及び七について

 お尋ねの「日露間の国境が画定していないのは・・・今回の拿捕につながっている」の意味するところが明らかではないが、いずれにせよ、政府としては、ロシア連邦政府の意図についてお答えする立場にない。

 その上で申し上げれば、政府としては、北方領土問題を可能な限り早期に解決すべきものと認識しており、ロシア連邦との間で領土問題を解決して平和条約を締結するとの基本方針の下、粘り強く取り組んでいく考えである。