質問主意書

第204回国会(常会)

答弁書


内閣参質二〇四第六八号
  令和三年五月二十一日
内閣総理大臣 菅 義偉


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員伊藤孝恵君提出官僚の働き方に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員伊藤孝恵君提出官僚の働き方に関する再質問に対する答弁書

一の1の(1)について

 御指摘の「統一指標」の意味するところが必ずしも明らかではないが、各府省等は、「令和三年度における人事管理運営方針」(令和三年三月三十一日内閣総理大臣決定)に基づき、「職員の在庁時間(正規の勤務時間外に在庁(テレワークの場合を含む。)した時間をいい、食事や休憩時間を含む。・・・)を正確に把握するため、業務端末の使用時間の記録等を利用した勤務時間の状況の客観的把握を、原則として令和三年八月までに開始する」こととしている。

一の1の(2)について

 各府省等は、一の1の(1)についてでお答えした方法を活用して職員の在庁時間を把握することとなるが、これは、各府省等において職員の勤務時間管理を適正に行うとともに、長時間労働の是正策の検討に必要な基礎資料を得ることを目的とするものであり、「定期的に公表」することは予定していない。

一の1の(3)について

 御指摘の「超過勤務手当や休日給が支給された残業時間」の意味するところが必ずしも明らかではないが、職員の超過勤務及び休日における勤務の時間(超過勤務手当(一般職の職員の給与に関する法律(昭和二十五年法律第九十五号。以下「給与法」という。)第十六条に規定する超過勤務手当をいう。以下同じ。)及び休日給(給与法第十七条に規定する休日給をいう。以下同じ。)の支給の対象となる時間をいう。)については、各省各庁の長が、給与法及び人事院規則の規定に基づき、超過勤務手当又は休日給を支給する等のために把握しているものであり、これを「毎月定期的に公表」することは予定していない。なお、平均年間超過勤務時間数については、人事院が実施している毎年の国家公務員給与等実態調査において把握し、毎年公表している。

一の1の(4)について

 内閣官房内閣人事局においては、各府省等における国会対応に係る業務の効率化を推進するため、平成二十八年六月、同年十二月及び平成三十年十二月において、当該業務の実態を把握・分析し、各府省等に好事例を共有しているほか、分析の結果を公表している。

一の2の(1)について

 お尋ねに関しては、退職手当の支給状況を毎年度調査する中で把握しているところであり、令和二年度については、現在調査中であるため、お答えすることは困難である。

一の2の(2)について

 お尋ねの「総合職試験の申込者数の減少」及び「若手職員の離職の増加」の要因について、一概に見解をお示しすることは困難であるが、優秀な人材の確保のためには、国家公務員の長時間労働の是正は重要な課題であると認識している。

二の1の(1)について

 お尋ねの「最終的な責任の所在」の意味するところが必ずしも明らかではないが、国家公務員の働き方改革については、中央人事行政機関として、人事院は国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第三条第二項の「職員に関する人事行政の公正の確保及び職員の利益の保護等に関する事務」などをつかさどる立場から、内閣人事局は同法第十八条の二第二項の「各行政機関がその職員について行なう人事管理に関する方針、計画等に関し、その統一保持上必要な総合調整に関する事務」などをつかさどる立場から、それぞれが担うこととされた機能を十全に発揮し、その所掌する制度を適切に運用しつつ、連携して取り組むべき課題であると考えている。

二の1の(2)について

 お尋ねの「改善指示とその効果分析」の意味するところが必ずしも明らかではないが、人事院及び内閣人事局は、人事院規則一五―一四(職員の勤務時間、休日及び休暇)第十六条の二の二、「超過勤務を命ずるに当たっての留意点について」(平成三十一年二月一日付け職職―二二人事院事務総局職員福祉局長通知)、「国家公務員の女性活躍とワークライフバランス推進のための取組指針」(平成二十六年十月十七日女性職員活躍・ワークライフバランス推進協議会決定、令和三年一月二十九日一部改正。以下「取組指針」という。)、毎年度の「人事管理運営方針」等に基づき、それぞれの立場から、随時、各府省等に対して長時間労働の是正に関して取り組むべき事項を示すとともに、必要な指導、助言又は情報提供を行っており、これに従い各府省等は長時間労働の是正に取り組んでいる。

二の1の(3)について

 お尋ねの「上限時間を超えて超過勤務を命じた場合」の「要因の整理、分析及び検証」については、人事院規則一五―一四第十六条の二の二第三項の規定により、各省各庁の長は、上限を超えて超過勤務を命ずる場合には、当該超過勤務を命じた日が属する同条第一項各号に規定する時間又は月数の算定に係る一年の末日の翌日から起算して六箇月以内に行わなければならないとされている。各府省等においては、それぞれが行った令和元年度の「要因の整理、分析及び検証」の結果を活用し、超過勤務の更なる縮減に向けて取り組んでいる。また、人事院は、各府省等の令和元年度の「要因の整理、分析及び検証」の状況について各府省等から報告を受け、それを踏まえて各府省等に対する指導を行い、あわせて、その状況を「上限を超えて超過勤務を命ぜられた職員の割合等について(令和元年度)」として整理し、人事院のホームページにおいて本年三月に公表するとともに、超過勤務の更なる縮減に向けた取組を促進する観点から各府省等に共有したところである。

二の2の(1)について

 人事院は、国家公務員法第十七条第一項の規定による調査として、お尋ねの期間に一般職の国家公務員の任用状況調査、国家公務員給与等実態調査等を行っている。

二の2の(2)について

 国家公務員法第十七条第一項の規定による調査については、同項において人事院の所掌する人事行政に関する事項に関し行うことができることとされており、人事院は、同法第三条第二項に規定する所掌事務を遂行するため、必要に応じて各府省等に対して調査を行うものである。

二の2の(3)及び(4)について

 お尋ねの「サービス残業に関する調査」の意味するところが必ずしも明らかではないが、国家公務員の超過勤務については、公務のため臨時又は緊急の必要がある場合に各省各庁の長が命令をするものであり、給与法第十六条第一項の規定により当該命令を受けて正規の勤務時間を超えて勤務した全時間に対して超過勤務手当を支給することとされており、また、国家公務員法第六十八条第一項において「職員に対して給与の支払をなす者は、先づ受給者につき給与簿を作成しなければならない。」と、同法第六十九条において「職員の給与が法令、人事院規則又は人事院指令に適合して行われることを確保するため必要があるときは、人事院は給与簿を検査し、必要があると認めるときは、その是正を命ずることができる。」と定めているところ、人事院は、これらの規定に基づき、超過勤務手当等を含む職員の給与の支払が法律、人事院規則等に適合して行われることを確保することを目的に、各府省等の給与簿の検査を毎年実施するとともに、超過勤務手当等が適正に支給されていないといった不当事項等を発見したときにはその是正を図るため必要な指示等を行っており、こうした取組により超過勤務手当等の適正な支給を確保する対応を行っているところである。

三の1について

 御指摘の「人員配置をゼロベースで行う」の意味するところが必ずしも明らかではないが、先の答弁書(令和三年三月三十日内閣参質二〇四第三八号)四の2及び3の(1)から(3)までについてでお答えしたとおり、社会経済情勢の変化に伴いそれぞれの行政需要やそのための業務量も変化することから、毎年度、定員合理化に取り組んだ上で、合理化された定員を原資とし、その時の行政需要に対応できるよう政府全体で定員の再配置を行っているところである。政府においては、業務量に応じた必要な定員の措置について、限られた財源の中で優先順位を考慮しながら、引き続き適切に対応してまいりたい。

三の2について

 御指摘の「各府省庁の定員を削減する方針」の意味するところが必ずしも明らかではないが、各府省等の定員については、三の1についてでお答えしたとおり、毎年度、定員合理化に取り組んだ上で、合理化された定員を原資とし、その時の行政需要に対応できるよう政府全体で定員の再配置を行っているところである。

三の3について

 令和三年度の国家公務員の定員は、令和三年度予算編成過程において各府省等から定員要求があったものについてその必要性等を審査し、新型コロナウイルス感染症への対応、デジタル社会の形成に向けたデジタル庁の新設、防災・減災・国土強靭化、治安・海上保安の基盤強化、税関・出入国管理・検疫の体制整備など内閣の重要政策に確実に対応できる体制整備を行うことにより、政府全体で前年度比千十四人の増の三十万二千四百四十九人とした。

 厚生労働省については、主として新型コロナウイルス感染症の拡大防止に係る業務量増加を踏まえ、感染症対策、保健所支援体制の強化、医療提供体制の整備及び医療用物資の確保等の体制強化、国立感染症研究所の情報収集・分析機能の強化、検疫体制の強化等のため、前年度比三百十一人の増となっている。

三の4について

 各府省等において、年度途中に業務が急増した課室には、必要に応じて、当該課室の所属する府省等の内外から即戦力となる職員を集めることで柔軟に対応している。また、年度途中であっても必要な定員の増員は行っている。

三の5について

 お尋ねの趣旨が明らかではないため、お答えすることは困難である。

四の1について

 超過勤務手当及び休日給の支給に要する経費については、予算及び決算において、内部部局、地方支分部局その他の部局等に係る当該経費が同一の科目に計上される例があるなど、統一的に把握することは困難であることから、お尋ねについてお答えすることは困難である。

四の2について

 御指摘の「超過勤務手当や休日給の予算が枯渇することも想定される」の意味するところが必ずしも明らかではないが、超過勤務手当等に係る予算の確保については、府省等内部での当該予算の適切な配分を行うとともに、業務の見直しや管理職員による部下職員のマネジメントの徹底などの対策を実行することで超過勤務等を縮減していくことが重要であると考えているが、このような対策を行った上で、それでもなお足らざる部分があれば、各府省等において、予算執行上の対応が検討されるものと承知している。

四の3について

 御指摘の「「働き方改革特別枠」を設けて、これまでの延長線上ではなく、抜本的な改革を進め」の意味するところが必ずしも明らかではないが、国家公務員の長時間労働の是正は重要な課題であると認識しており、政府としては、取組指針等に基づき、デジタル化や定型業務の効率化の推進を含む働き方改革の取組を進めているところである。

 また、「令和三年度における人事管理運営方針」に基づき、各府省等は、職員の在庁の実態を把握し、長時間労働の要因を分析した上で、長時間労働の是正のための取組を検討し、実施することとしているところである。