質問主意書

第204回国会(常会)

答弁書


内閣参質二〇四第六二号
  令和三年四月二十七日
内閣総理大臣 菅 義偉


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員田島麻衣子君提出東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員田島麻衣子君提出東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの「東京電力福島第一原発事故の処理費用」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府として、汚染水への対応を含めた廃炉のほか、賠償、除染・中間貯蔵施設事業などのための所要資金の見通しを、一定の蓋然性を有するものとして二十一・五兆円と示している。

 なお、お尋ねの「海洋放出の設備費用等」については、「東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所における多核種除去設備等処理水の処分に関する基本方針」(令和三年四月十三日廃炉・汚染水・処理水対策関係閣僚等会議決定。以下「基本方針」という。)を踏まえて、今後、東京電力ホールディングス株式会社において検討がなされるものである。

二について

 お尋ねの「デザイン料」を含む「チラシや動画の作成費用」については、令和二年度放射線等に関する情報発信事業の費用の内数であり、数百万円程度であるが、詳細な金額を公にすることは、当該事業の請負業者の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあることから、当該金額の情報は行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成十一年法律第四十二号)第五条第二号イに該当すると考えられることを踏まえ、お答えすることは差し控えたい。

三及び四について

 お尋ねのトリチウムのイラストについては、「チラシや動画」においてトリチウムが身の回りにあること等の科学的根拠に基づく正しい知識を、多くの国民に予断を持たずに知ってもらうことができるよう表現したものである。

五について

 お尋ねの「処理水を体内に飲用水として取り込むことの安全性」については、基本方針において、「多核種除去設備等により、トリチウム以外の放射性物質について安全に関する規制基準値を確実に下回るまで浄化した水」の海洋放出に当たって、「トリチウムの濃度は、規制基準を厳格に遵守するだけでなく、消費者等の懸念を少しでも払拭するよう、現在実施している福島第一原発のサブドレン等の排水濃度の運用目標(千五百ベクレル/リットル未満)と同じ水準とする」としており、当該水準は、「世界保健機関(WHO)の飲料水水質ガイドラインの七分の一程度」としている。