質問主意書

第204回国会(常会)

答弁書


内閣参質二〇四第五七号
  令和三年四月二十日
内閣総理大臣 菅 義偉


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員吉川沙織君提出銀行法等束ね法案に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員吉川沙織君提出銀行法等束ね法案に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの「今国会に提出する閣法の本数を少なくするよう、政府部内で指示・調整」をした事実はない。

二、三、七及び八について

 新型コロナウイルス感染症等の影響による社会経済情勢の変化に対応して金融の機能の強化及び安定の確保を図るための銀行法等の一部を改正する法律案(以下「銀行法等改正法案」という。)は、新型コロナウイルス感染症等の影響により、デジタル化や地方創生の取組を加速する必要が生ずるなど社会経済情勢に様々な変化が生じている中、これに対応して日本経済の回復・再生を力強く支える金融機能を確立するために必要な措置を講ずるものである。銀行法等改正法案は、銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)、農業協同組合法(昭和二十二年法律第百三十二号)、金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)、水産業協同組合法(昭和二十三年法律第二百四十二号)、中小企業等協同組合法(昭和二十四年法律第百八十一号)、協同組合による金融事業に関する法律(昭和二十四年法律第百八十三号)、信用金庫法(昭和二十六年法律第二百三十八号)、長期信用銀行法(昭和二十七年法律第百八十七号)、労働金庫法(昭和二十八年法律第二百二十七号)、金融機関の合併及び転換に関する法律(昭和四十三年法律第八十六号)、預金保険法(昭和四十六年法律第三十四号)、保険業法(平成七年法律第百五号)、農林中央金庫法(平成十三年法律第九十三号)、銀行等の株式等の保有の制限等に関する法律(平成十三年法律第百三十一号)、金融機関等の組織再編成の促進に関する特別措置法(平成十四年法律第百九十号)及び金融機能の強化のための特別措置に関する法律(平成十六年法律第百二十八号)の改正を提案するものであり、具体的な改正内容としては、銀行法等の改正により、地域の活性化等に資する業務を金融機関の業務に追加し、ポストコロナにおいて重要となるデジタル化や地方創生に金融機関が幅広く貢献できるようにすること、金融商品取引法の改正により、国内における海外投資家等向けの投資運用業に係る届出制度を創設し、グローバルな拠点再配置を行う海外の金融機関の日本の資本市場への参入を後押しすること、金融機能の強化のための特別措置に関する法律の改正により、預金保険機構が事業の抜本的な見直しを行う金融機関に対して資金を交付する制度を創設し、中小企業等を支援する立場にある地域銀行等が自らの経営基盤を強化する取組を後押しすること等を盛り込んでいる。お尋ねの「「金融の機能の強化及び安定の確保」を図る施策」に該当するかどうかについては、個々の政策の内容に応じて判断されるものであると考えており、銀行法等改正法案の改正内容はいずれも、新型コロナウイルス感染症等の影響による社会経済情勢の変化に対応して、金融仲介機能その他の金融機関等が社会経済において発揮する機能を強化するとともに、金融機関の経営基盤強化等を通じて金融システムの安定の確保を図るものであることから、「金融の機能の強化及び安定の確保」を図るものに該当すると考えている。また、お尋ねの「法制的な牽連性」が具体的に意味するところは明らかではないが、銀行法等改正法案に盛られた政策は統一的なものであり、その趣旨・目的は一つであると認められることから、一つの改正法案として提案したものである。

四について

 お尋ねの「「金融の機能の強化及び安定の確保」を図ることを直接的又は間接的な目的とはしない改正」の具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。

五について

 政府が、金融商品取引法、銀行法及び金融機能の強化のための特別措置に関する法律の改正を一つの改正法案として提案した例としては、第百八十三回国会に提出された金融商品取引法等の一部を改正する法律案(第百八十三回国会閣法第五十九号)があり、同法案は、金融システムの信頼性及び安定性を高めるため、情報伝達行為に対する規制の導入等のインサイダー取引規制の強化、投資一任業者等による運用報告書等の虚偽記載等に係る制裁の強化、投資法人の資本政策手段の多様化、大口信用供与等規制の強化、金融危機に際して金融機関等の資産及び負債の秩序ある処理を行う措置の創設等の措置を講ずるものである。

六について

 お尋ねの「改正内容につながる検討」の具体的に意味するところが明らかではないが、銀行法等改正法案の改正内容は、金融審議会に設置された銀行制度等ワーキング・グループ及び市場制度ワーキング・グループにおける審議の結果を踏まえたものであり、これらのワーキング・グループの検討事項に係る内閣府特命担当大臣(金融)による諮問は、いずれも令和二年九月十一日に行われたものである。

九について

 一般論として、法案の立案の段階の作業の内容及び量は、個々の法案に盛られる政策の内容によって変わるものであるから、お尋ねのように「一般に、束ねる法律案の本数が多ければ多いほど、従事する職員に負荷がかかることになり、また、日程の余裕が失われることになる」とは必ずしも言えないと考えている。