質問主意書

第204回国会(常会)

答弁書


内閣参質二〇四第四二号
  令和三年四月六日
内閣総理大臣 菅 義偉


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員牧山ひろえ君提出M&Aを促進するための税制上の措置に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員牧山ひろえ君提出M&Aを促進するための税制上の措置に関する質問に対する答弁書

一について

 中小企業政策は、中小企業の多様で活力ある成長発展を図ることを基本理念としている。したがって、政府としては、中小企業政策は、中小企業の数を減らすことを目的とするものではないと認識している。

二について

 お尋ねの「自社株式を対価とするM&Aに係る対象会社株主に対する課税の繰延措置」については、企業が収益性の向上を目指し、迅速かつ大規模な事業再編を行う場合に用いられることを期待しているが、当該措置により「経営状況が悪化している中小企業が大企業に吸収されるような例」の数については、当該事業再編を行う企業の経営状況は様々であることや、「吸収」の意味するところが必ずしも明らかではないため、見通しをお示しするのは困難である。他方、「中小企業の経営資源の集約化に資する税制」は、大企業ではなく、中小企業者が他の中小企業者等の株式等を取得する際の措置であり、「中小企業が大企業に吸収されるような例が続出してしまうのではないか」との御指摘は当たらないと考えている。

三について

 我が国の雇用の約七割を占める中小企業の休廃業が進むことで、中小企業が抱える人材等の経営資源の散逸が懸念される中、中小企業が他の法人の株式の取得等を行った後は、当該他の法人の雇用は維持されることが多いとの民間調査機関による調査結果もあり、政府としては、中小企業による株式の取得等による経営資源の集約化を進めることで、中小企業の雇用を維持することが重要であると考えている。