質問主意書

第204回国会(常会)

答弁書


内閣参質二〇四第三四号
  令和三年三月二十三日
内閣総理大臣 菅 義偉


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員牧山ひろえ君提出外国人技能実習制度をめぐる各種のトラブルに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員牧山ひろえ君提出外国人技能実習制度をめぐる各種のトラブルに関する質問に対する答弁書

一について

 一般に、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和四十七年法律第百十三号)第九条第三項の規定により、事業主は、妊娠、出産等を理由として、女性労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならないとされており、当該規定は、技能実習生(外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(平成二十八年法律第八十九号。以下「法」という。)第二条第一項に規定する技能実習生をいう。以下同じ。)を雇用する事業主についても適用される。また、倒産等のやむを得ない場合を除いては、実習実施者(法第二条第六項に規定する実習実施者をいう。以下同じ。)や監理団体(法第二条第十項に規定する監理団体をいう。以下同じ。)の一方的な都合により、技能実習生が実習期間の途中でその意に反して帰国させられることはあってはならないと認識している。

二について

 御指摘の「実習生の妊娠・出産に関」する「トラブル」の具体的に意味するところが明らかではないため、お尋ねについてお答えすることは困難である。

三について

 法第十九条第一項又は第三十三条第一項の規定に基づき実習実施者又は監理団体が外国人技能実習機構に対して行った技能実習の実施が困難となった場合の届出(我が国に入国しておらず技能実習の開始前であることが明らかなものを除く。)のうち、その届出内容から、妊娠又は出産を理由とすることが把握できるもの(技能実習生本人以外の妊娠又は出産であることが明らかなものを除く。)に係る人数は、法が施行された平成二十九年十一月一日から令和二年十二月三十一日までの間において、企業単独型技能実習生については十人、団体監理型技能実習生については六百二十七人である。また、技能実習生がその意思に反して帰国を促された場合にあっては、出入国港での出国手続の際に入国審査官にその旨を申し出ることができることとしているが、妊娠又は出産を理由とするものであるかについては、統計をとっておらず、お答えすることは困難である。

四について

 御指摘の(1)から(3)までの証言について事実を確認することは困難であるが、例えば、(1)又は(3)の証言に類する事例として、送出機関(法第二十三条第二項第六号に規定する外国の送出機関をいう。以下同じ。)が技能実習生から保証金を徴収していた事例や、送出機関が技能実習生との間で妊娠又は出産した場合には帰国することについて契約していた事例があることを把握している。政府としては、これらの事例は、送出機関の要件に適合しない又は我が国の法令に違反するおそれがあると認識しており、相手国(我が国が二国間の技能実習制度に関する協力覚書を作成した国をいう。以下同じ。)政府に対し、その旨を通報し、相手国における当該送出機関に対する調査や指導を求めている。

五及び六について

 御指摘の「実習生をめぐる各種のトラブル」の具体的に意味するところが明らかではないため、お尋ねについてお答えすることは困難であるが、政府として、引き続き、法第十四条第一項の規定により外国人技能実習機構に行わせる同項各号に掲げる事務、法第四十九条第一項の規定による技能実習生からの申告及び法第五十条第二項の規定による技能実習生からの相談、各国に所在する日本国大使館等からの情報提供及び相手国政府との定期的な情報交換等により、送出機関の不適切な事例の把握及び四についてでお答えした対応等の適切な対応に努めてまいりたい。