質問主意書

第204回国会(常会)

質問主意書


質問第一三二号

重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律の解釈に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和三年六月十六日

小西 洋之


       参議院議長 山東 昭子 殿



   重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律の解釈に関する質問主意書

一 警察庁の所在地である霞ヶ関の中央合同庁舎第二号館など全国の警察施設は、重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律(以下「本法」という。)の適用対象外であると解してよいか。警察施設が本法第二条第二項第三号の「生活関連施設」に該当するか否かについて、その理由も含め具体的に説明されたい。

二 防衛省が本法第六条に規定する現地・現況調査を行う場合において、自衛官がどのような調査を担うのか、あるいは、自衛官はどのような調査を行うことはないのか等について具体的に説明されたい。

 その際、本法第七条に基づく「公募等の収集」及び第八条に基づく「報告等の求め」に防衛省が関与することの有無(自衛官の関与の有無)、内閣総理大臣と防衛大臣との間における本法第六条に基づく現地・現況調査に係る調査の主体と補助的な事務の遂行を行う者の分担の関係、防衛省が担う当該補助的な事務のうち自衛官が行うことがあり得る事務の具体的な説明(現地への地理的な案内、移動のための車両の提供、定期的な現地状況の確認、写真等の記録等など)、特に、自衛官による家屋等への個別の訪問を内閣総理大臣が求めることの有無及び防衛大臣が行うことの有無について説明されたい。

三 前記二において、地方防衛局に勤務する自衛官ではない自衛隊員がどのような調査を担い、あるいはどのような調査を行うことはないのか等について具体的に説明されたい。

四 本法においては、自衛隊施設等の一キロメートル圏内において不動産の所有・賃貸をしていない者が機能阻害行為を遂行するために一キロメートル外からやって来る場合について、当該機能阻害行為を防ぐ何らかの効果があるのか。ある場合は、具体的に説明されたい。

五 自衛隊が、本法第六条の調査に基づき自衛隊が収集した情報を在日米軍に提供することがあるか否かについて説明されたい。

六 日米地位協定合意議事録の第十七条第十項に関する規定により、米国の軍当局は、施設・区域の近傍において、当該施設及び区域の安全に対する罪の既遂又は未遂の現行犯に係る者を法の正当な手続きに従って逮捕することができるとされているところ、前記五において、在日米軍が日本側の情報提供に基づき、独自に調査を進め、「当該施設及び区域の安全に対する罪の既遂又は未遂の現行犯」を逮捕することも制度上はあり得るのかについて説明されたい。

七 政府は、「第二十二条の関係行政機関には、公安調査庁、自衛隊情報保全隊、内閣情報調査室、警察庁は排除されていない」とした上で、本年五月二十六日の衆議院内閣委員会において「内閣総理大臣は、関係行政機関等の協力を得つつ、所要の分析を行うこともあり得る」との旨を答弁しているところであるが、本法の施行において、総理大臣が、公安調査庁、自衛隊情報保全隊、内閣情報調査室、警察庁の協力を得つつ、所要の分析を行うこともあり得るのか(法律上排除されるのか)。

八 前記七について、政府においては、土地等利用状況調査に際しては、公安調査庁、自衛隊情報保全隊、内閣情報調査室、警察庁などが保有する情報を活用することや、公安調査庁、自衛隊情報保全隊、内閣情報調査室、警察庁などに情報の収集を依頼することは考えていないとのことであるが、本法第二十二条に基づき、内閣総理大臣が、土地等利用状況調査により得た情報を、公安調査庁、自衛隊情報保全隊、内閣情報調査室、警察庁などと共有することはあり得ると考えているのか。また、当該共有は法律上禁止されていないと解してよいか(以上について、当該情報を共有しない限りは「所要の分析を行」い得ないのではないかと解する。)。

九 この法律は、自衛隊を、国民を守る自衛隊から国民を調査・監視する自衛隊に変えてしまうものではないか、政府の見解を示されたい。

  右質問する。