第204回国会(常会)
質問第一二五号 ヤングケアラーの実態に関する調査研究報告書に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和三年六月十六日 牧山 ひろえ
参議院議長 山東 昭子 殿 ヤングケアラーの実態に関する調査研究報告書に関する質問主意書 厚生労働省及び文部科学省は学校、要保護児童対策地域協議会、全国の中高生を対象にヤングケアラーに関する初の全国的な実態調査結果をまとめ、二〇二一年四月十二日に公表した。ヤングケアラーは「家族にケアを要する人がいる場合に、大人が担うようなケア責任を引き受け、家事や家族の世話、介護、感情面のサポートなどを行う十八歳未満の子ども」のこととされる。 今回の実態調査結果では中学二年生のおよそ十七人に一人、全日制の高校二年生のおよそ二十四人に一人が「世話をする家族がいる」と回答している。 一 ヤングケアラーを対象とした全国的な実態調査は、私を始め、各方面から望まれてきたものであり、今回、初の全国的な実態調査が実施されたのは非常に意義深いと評価しうる。今後も実態調査は継続して定期的に実施されるべきと考えるが、政府の見解を示されたい。 二 ヤングケアラーの課題解決には地域での取組が重要になると思われ、問題の解決のためには地域単位での実態調査も必要と考える。国は自治体によるヤングケアラーの実態調査を後押しすべきと考えるが、政府の見解を示されたい。 三 今回の全国的な実態調査では小学生が対象となっていない。しかし、ヤングケアラーがケアを始めた平均年齢が九・八歳とされ、調査の必要性は中高生に劣らない。小学生は質問内容を理解したり、自分の状況を客観視したりして回答するのが難しいからとの理由もあったとのことであるが、それは工夫次第ということもある。状況をより正確に把握するため、次回以降は小学生も調査対象とすべきと考えるが、政府の見解を伺う。 四 ヤングケアラーについて、ヤングケアラーの支援に向けた福祉・介護・医療・教育の連携プロジェクトチームが本年五月十七日に学校や地域などで早期に発見して支援につなげるための報告書をまとめた。 この報告書の中で家族側の支援に入っている介護専門職が、ヤングケアラーを「介護力」と見て、福祉サービス等の利用調整が行われているという課題が挙げられている。この課題に対する報告書の方針は、「子どもが主たる介護者となっている場合には、子どもを「介護力」とすることを前提とせず、居宅サービス等の利用について十分配意するなど、・・・地方自治体や関係団体に周知を行う」とされている。基本的に正しい方向性と考えるが、「子どもを介護力として位置付けない」ための基準はどのように想定しているか。 五 ヤングケアラーをめぐる課題解決には、関係機関や団体、個人が密接に連携する必要がある。政府は来年度中に「多機関マニュアル」を策定する方針と報じられているが、連携の対象は行政機関に限らず、広く関係者・関係団体を巻き込んでいくことも検討すべきではないか。 六 政府は、データベースを活用した子どもの貧困対策を自治体に求める方針を固めたと承知している。自治体が保有する生活保護の受給状況や、学校にある様々な情報を一元化し、問題を抱えながら声を上げられない子どもたちを見つけ出す仕組みの導入を促すとされている。 支援を要するヤングケアラーと家庭の貧困(経済的な困窮)には密接な関係がある。そのため、このような子どもの情報を一元化するデータベースを構築するならば、潜在しがちなヤングケアラーの発見にも活用できるようにすべきと考える。この点に関する政府の見解を伺う。 右質問する。 |