質問主意書

第204回国会(常会)

質問主意書


質問第一一八号

国際金融都市構想に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和三年六月十五日

牧山 ひろえ


       参議院議長 山東 昭子 殿



   国際金融都市構想に関する質問主意書

 二〇二〇年七月に閣議決定された「骨太方針二〇二〇」には、「海外金融機関等の受入れに係る環境整備等により、世界中から優秀な人材や資金、情報を集め、世界・アジアの国際金融ハブとしての国際金融都市の確立を目指す。」と明記されている。

 また、二〇二〇年七月に閣議決定された「成長戦略フォローアップ」にも「国際金融都市の確立」は掲げられ、同年八月に金融庁が公表した「令和二事務年度金融行政方針」には、日本市場がアジアにおける国際金融の中核的な拠点として発展できるよう、海外金融機関・専門人材の受入環境整備、許認可や検査・監督プロセスの英語化などを進めることとされている。

 そこで、国際金融都市構想の実現に向けた取組について、以下質問する。

一 日本では、一九九六年十一月に橋本内閣が示した「日本版金融ビッグバン」以降、今日に至るまで長年にわたって、国際金融センターとしての東京市場の機能強化策が講じられてきた。この流れは民主党政権下でも同様であり、二〇一〇年十二月に金融庁が示した「金融資本市場及び金融産業の活性化等のためのアクションプラン」では、「アジアの主たる市場(メイン・マーケット)たる日本市場の実現」、「我が国金融機関のアジア域内での活動拡大」の支援といったテーマを掲げていたところである。

 第二次安倍内閣の下では、財務省及び金融庁が共同で事務局となって、「金融・資本市場活性化有識者会合」が設けられた。二〇一三年十二月に公表された「金融・資本市場活性化に向けての提言」では、東京オリンピックが開催される二〇二〇年に国際金融センターとしての地位を確立することを目指し、様々な施策が打ち出されてきた。

 このように、政権交代も挟んで長期にわたる取組が続けられてきたが、国際金融センターとしての東京市場の地位向上につながるものとなったかどうか、まずは振り返る必要がある。今後の取組を議論するに当たって、これまでの施策がどのような効果があったと考えているのか、政府の評価を伺う。

 また、国際金融都市の確立を目指すためには、これまでの施策の効果を踏まえた上で、我が国の現時点における強みと弱みを把握し、弱みを克服するための対応を採る必要がある。我が国の強み・弱みに対する政府の認識を伺う。

二 今回の国際金融都市構想は、香港情勢の悪化等を踏まえ、従来は香港に拠点を置いていた海外金融機関や専門人材の受皿となるべく打ち出された側面がある。「令和二事務年度金融行政方針」においても、金融行政プロセスの英語化や登録手続の迅速化を進めるとともに、税制を含めたビジネス環境の改善策を検討することとされている。既に金融庁では、本年一月に拠点開設サポートオフィスを設置するなど具体的な対応を始めており、今国会で成立した税制改正法や銀行法等改正にも制度整備の内容が盛り込まれている。これらの施策を始めとする取組を通じて、我が国が、世界・アジアの国際金融ハブとしての国際金融都市の確立を目指す意義について、政府の認識を伺う。

三 国際金融都市の確立を目指すに当たって、競争相手となるアジアの都市と比べて、我が国にはビジネス環境面での改善が必要となる課題はまだ山積している。加えて、東京証券取引所のシステム障害や、信託銀行による議決権行使書の誤集計など、市場の信頼を揺るがす問題が頻発してきたことを軽視できない。今後は、海外からの企業や人材の呼び込みに資する環境整備とともに、市場の信頼性や利便性の向上に向けた継続的な取組が必要であると考えるが、政府の見解を伺う。

  右質問する。