質問主意書

第204回国会(常会)

質問主意書


質問第一一七号

新型コロナウイルス感染症等の影響による孤独・孤立等への対応に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和三年六月十五日

牧山 ひろえ


       参議院議長 山東 昭子 殿



   新型コロナウイルス感染症等の影響による孤独・孤立等への対応に関する質問主意書

 日本では、単身世帯の増加や地域コミュニティの弱体化などを背景に、ひとり親や単身高齢者などの孤独・孤立が課題となっている。新型コロナウイルス感染症等の影響で、この状況が更に悪化することも懸念されており、政府による実効的な対策が急務となっている。

 そこで、以下質問する。

一 日本における自殺者数は、二〇〇三年に三万四千四百二十七人を記録して以来、自殺対策基本法の制定等もあり減少傾向となり、近年ではリーマン・ショックの影響を受けていた二〇〇九年の三万二千八百四十五人から十年連続で減少していた。しかし、二〇二一年三月十六日に厚生労働省及び警察庁が発表した二〇二〇年の自殺者数は二万一千八十一人と、十一年振りに増加に転じている。

 性別で見ると、男性は引き続き減少が続いているが、女性は増加している。世代別では二十代の増加率が高くなっている。また、自殺の動機を「経済・生活問題」とする割合は全体では減少しているものの、三十代以下では増加している。

 こうした自殺者数の状況については、雇用環境の悪化、経済状況の悪化に加え、感染対策上、人との接触の機会を減らさざるを得ないことによって、孤独・孤立が生じていることも要因にあるのではないかとも指摘されている。

 最近の自殺者数増加の要因について、政府の認識を伺う。

二 日本における孤独・孤立対策について、これまでは、関係施策の所管が各省庁に点在していることもあり、効果的な対策に結びつくには至っていなかった。政府は本年二月、坂本国務大臣に孤独・孤立政策を担当させ、内閣官房に孤独・孤立対策担当室を設置した。本年六月一日には、元厚生労働事務次官の村木厚子津田塾大学客員教授と、認定NPO法人自立生活サポートセンター・もやいの大西連理事長を政策参与に任命した。

 孤独・孤立の問題は新型コロナウイルス感染症等の影響を受け現在進行形で進んでいるものであり、踏み込んだ対策もできるだけ早期に打ち出す必要があると考える。孤独・孤立対策の実施・検討状況及び今後の進め方について、政府の見解を伺う。

三 「孤独・孤立」の定義や、その度合いを測る指標の在り方については、様々な課題が指摘されているが、政府は、孤独・孤立対策を進めるに当たり、どのような定義や指標を定めようとしているのか。

四 コロナ禍における孤独・孤立には、経済状況の悪化も大きな要因となっていると考える。現在の低所得層にある個人に対する支援は、多くは貸付による支援策となっている。当事者の立場からすれば、返済の当ての無い状態で新たに借金をするのでは利用しにくいとの声がある。

 政府は、緊急小口資金等の特例貸付を利用できない世帯で一定の要件を満たす生活困窮世帯に対し、「新型コロナウイルス感染症生活困窮者自立支援金」(仮称)を支給する方針を示したが、既に貸付を受けている世帯が前提の制度であり、貸付による支援を原則とする考え方に変化はないように受け止められる。

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大は自然災害に近いものであり、そのリスクにあらかじめ対応しておくことも困難である。返済を前提とした貸付だけではなく、今後も実態に応じた給付を行うことが必要と考えるが、政府の見解を伺う。

  右質問する。