質問主意書

第204回国会(常会)

質問主意書


質問第一一一号

「GABA(ギャバ)トマト」等のゲノム編集技術によって開発された動植物・魚類に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和三年六月十五日

紙 智子


       参議院議長 山東 昭子 殿



   「GABA(ギャバ)トマト」等のゲノム編集技術によって開発された動植物・魚類に関する質問主意書

 二〇二〇年度「食料・農業・農村白書」は二〇二〇年十二月にゲノム編集技術によって開発されたGABA(ギャバ)トマトが食品・作物として届出され「今後の社会実装が見込まれる」とゲノム編集食品・作物を推進する考えが示された。そして、開発企業は、本年、ゲノム編集技術で開発された「GABA(ギャバ)トマト」の苗を五千人もの希望者に無償配布した。

 そこで、以下、質問する。

一 GABA(ギャバ)トマトを開発した企業及び研究機関を明らかにするとともに、食品・作物として届出された日時、受理した日時を明らかにされたい。

二 GABA(ギャバ)トマトの苗を一般販売でなく、なぜ無償配布としたのか理由を示されたい。また、無償配布した苗の本数、事前相談において政府に提出された文書・資料等をすべて明らかにするとともに、家庭菜園で何を確かめようとしたのか、明確な理由を明らかにされたい。

三 GABA(ギャバ)トマトの無償配布を認めた理由及び経過を明らかにされたい。

四 GABA(ギャバ)トマトと在来トマトの花粉が風や昆虫等によって交雑すれば、生態系へ悪影響を及ぼすのではないか。トマトは多くの国で栽培されているが、栽培トマトの野生化実態調査件数を明らかにされたい。また、全国のトマト農家が風評被害に苦しむことになるのではないかと考えるが、政府の見解を示されたい。

五 農林水産省が本年五月十二日に策定した「みどり食料システム戦略」において「革新的な技術(ゲノム編集作物・RNA農薬)・生産体系の実用化は、食や環境への安全の確保はもとより、科学的な知見に基づく合意が形成されることが重要である」旨記載されている。GABA(ギャバ)トマトは、国民的な合意を得ているとは、到底言いがたいと考えるが、政府の見解を示されたい。

六 ゲノム編集技術を用いて開発した動植物・魚介類名と開発企業名を明らかにするとともに、すでに市場に流通している動植物・魚類はあるのか、明らかにされたい。

七 政府は「ゲノム編集技術は従来の突然変異と変わらない」などと主張し、安全性審査は行わず、動植物・食品には表示義務もない。しかし、ゲノム編集技術には、オフターゲット(意図しない突然変異)と呼ばれる副作用が発生することが明らかになっており、商品化にあたって国と開発企業の協議内容、文書・資料等をすべて公開すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。