質問主意書

第204回国会(常会)

質問主意書


質問第一〇七号

名古屋出入国在留管理局で収容中に死亡したスリランカ人女性に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和三年六月十四日

鈴木 宗男


       参議院議長 山東 昭子 殿



   名古屋出入国在留管理局で収容中に死亡したスリランカ人女性に関する質問主意書

 本年三月六日に名古屋出入国在留管理局で死亡したスリランカ人女性のウイシュマさんに対する政府の対応に関し、以下、質問する。

一 本年三月六日に死亡し、四月九日に中間報告が提出されているが、ウイシュマさんの死亡から三か月が経過した現在も最終報告が出されていない。ご遺族のご胸中を察するに、一日も早く提出するべきと考えるが、いつ最終報告書が提出されるのか明らかにされたい。

二 ウイシュマさんのご遺族が「どんな生活をしていたか、その居室のビデオを見たい」と入管庁にお願いしていることに、なぜ、協力しないのか、政府の見解は如何。

三 本年五月二十五日の参議院外交防衛委員会で、私が田所嘉德法務副大臣(以下「田所副大臣」という。)に「なぜ、遺族に居室ビデオを公開しないのか」と質問したところ、田所副大臣からは「御指摘のビデオを開示するということにつきましては、保安上の観点からの問題があることに加えて、亡くなった方の名誉、尊厳の観点からの問題や、第三者の方々が今調査をしている中で先入観を与えてしまうというようなことも考えられる中で、これを開示できないということでございます」、「施設の設備や形状、職員による巡回の体制の頻度、監視カメラの撮影範囲や解像度などの具体的状況が公となり、逃走の防止や施設内の秩序維持という点で問題があるというふうに考えているわけであります」との答弁であった。

 ご遺族の希望はウイシュマさんの居室ビデオだけであることから、田所副大臣の答弁が「公開しない理由」とするには理解し難く、何も保秘の観点や逃走の恐れ等にはあたらないと考えるが、政府の見解は如何。

四 田所副大臣が「第三者の方々が今調査をしている中で先入観を与えてしまうというようなことも考えられる中で、これを開示できないということでございます」と述べているが、居室ビデオの公開と何の関係があるのか、誠実な答弁を求める。

五 「御指摘のビデオを開示するということにつきましては、保安上の観点からの問題があることに加えて、亡くなった方の名誉、尊厳の観点からの問題」と答弁しているが、「保安上の観点」が何処にあるのか。また、「名誉と尊厳の観点」というが、ご遺族は「殺されたに等しい」と思っている。誰のための名誉と尊厳か、明らかにされたい。

六 収容施設の部屋は、畳で独房室一人二畳、共用室八人で十六畳のスペースで、刑事施設と似ていると承知する。国際的水準からみても劣悪と指摘されており、この環境は国際社会からみても理解されず、収容施設の改善を早急に図るべきだと考えるが政府の見解は如何。

  右質問する。