質問主意書

第204回国会(常会)

質問主意書

質問第九四号

「名ばかり管理職」に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和三年六月十日

牧山 ひろえ


       参議院議長 山東 昭子 殿



   「名ばかり管理職」に関する質問主意書

 労働基準法第四十一条第二号の「監督若しくは管理の地位にある者」(以下「管理監督者」という。)に対しては、労働時間、休日などに関する規制が適用されず、残業代などを支払わなくても良いと定められている。

 具体的には、企業の中で相応の地位と権限が与えられ、経営者と一体的な立場と評価することができる従業員が管理監督者に該当する。

 管理監督者に当てはまるかどうかは、役職名ではなく、その職務内容、責任と権限、勤務態様等の実態によって判断するとされている。だが、労働者が「管理職」という職位・肩書きであるという理由のみで、客観的に管理監督者の実態がないのに、これに該当すると整理して時間外労働・休日労働の割増賃金を支払っていない「名ばかり管理職」の問題が以前から数多く指摘されている。

 この「名ばかり管理職」の問題について、以下質問する。

一 「名ばかり管理職」について問題点が指摘されてから、かなりの期間が経過するが、状況は悪化しているのか、それとも改善しているのか、政府の見解を示されたい。

二 現在、管理監督者に該当しないことを理由として労働基準監督署から指導を行った件数については、統計をとっていない。統計をとり、現在の状況のより正確な把握に努めるべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

三 このような事例を対象としての指導・監督・取締り等について、政府の方針を示されたい。

四 労働紛争の抑制のために、相互の当事者の理解と納得が重要であると考える。この問題についての解決は、会社側及び労働者の双方が管理監督者について正しい知識を持つことだと考えるが、政府の認識及び対策を示されたい。

五 労働基準法第四十一条に規定される管理監督者に関しては、その任命の際に経営者側から、当該役職を受けた際に同法第四十一条第二号が適用されて今後は残業代等が発生しない旨を明示的に説明するよう指導すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

六 企業は「どの職位にある人」を管理監督者と見なすのかを、就業規則で定義する必要があるとされる。管理監督者に関し、就業規則に適切な規定がなされていない場合、労働基準法第四十一条第二号の適用への影響はあるか。

七 働き方改革関連法の施行により管理監督者の労働時間の把握が、二〇一九年四月より義務化された。管理監督者の就労時間はどのような傾向にあるか示されたい。

  右質問する。