質問主意書

第204回国会(常会)

質問主意書


質問第八六号

国庫補助金等により設置造成された基金の執行状況等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和三年六月八日

木戸口 英司


       参議院議長 山東 昭子 殿



   国庫補助金等により設置造成された基金の執行状況等に関する質問主意書

 近年、基金の大規模な新規造成や既存基金への積み増しが行われている。基金方式は複数年度にわたる事業であって弾力的な支出が必要な事業に使われ、東日本大震災からの復興事業においても東日本大震災復興交付金基金や生活拠点形成交付金基金など多くの基金が活用されている。一方、基金方式を活用した事業に関して、会計検査院は「国庫補助金等により基金法人に設置造成された基金」や「国庫補助金等により地方公共団体等に設置造成された基金」について多くの問題点を指摘している。

 基金は予算の単年度主義や財政民主主義の観点から、執行状況を明らかにして透明性を確保し、基金事業として適正な運用を図ることが必要であると考える。

 そこで、以下、質問する。

一 平成二十年度から令和三年度までの各年度における当初予算、第一次補正予算、第二次補正予算、第三次補正予算及び第四次補正予算において新たに造成した基金について、所管府省ごとに、終了時期を設定した基金の名称を、終了時期を設定しなかった基金についてはその名称及び終了時期を設定しなかった理由を示されたい。

二 各府省が作成する基金シートには毎年度の国庫返納額が掲載される。これによるとほとんど国庫返納を行っていない基金と、毎年度一定額の国庫返納を行っている基金がある。国庫返納額の規模はいずれの組織が、いかなる基準に基づいて決定しているのか。また、毎年度一定規模の国庫返納が行われていることは、基金に過剰な資金が積み上がっているのではないかと思慮される。国庫返納額の適正な規模について政府の見解を明らかにされたい。

三 基金方式の特徴は、複数年度にわたる事業について各年度の所要額が見込み難い中で弾力的な支出が行われるように、あらかじめ当該複数年度にわたる財源を確保することにあると考える。しかし、基金によっては毎年度定期的にほぼ同規模の補助金等の交付を受けるものもある。これらは基金を造成する必要はなく、毎年度補助金等を財源に事業を実施すればよいのではないかと考える。平成十年度以降において、従来基金事業として実施していた事業を補助金等による事業に切り替えた事業について、当該事業名と切り替えの時期について示されたい。併せて切り替えた理由について明らかにされたい。また、毎年度補助金等を積み増して実施する基金事業を、毎年度の補助金等の交付によって実施することが不適当であると考える理由について、政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。