質問主意書

第204回国会(常会)

質問主意書


質問第八〇号

政務三役等をはじめとする内閣に属する一員のSNS等における見解に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和三年六月二日

白 眞勲


       参議院議長 山東 昭子 殿



   政務三役等をはじめとする内閣に属する一員のSNS等における見解に関する質問主意書

 本年五月十二日、中山泰秀防衛副大臣(以下「中山副大臣」という。)がツイッター上に、「あなたならどうしますか?ある日突然二十四時間で三百発以上のロケット弾がテロリストによって撃ち込まれ、愛する家族の命や、家を奪われたら。イスラエルにはテロリストから自国を守る権利があります。最初にロケット弾を一般市民に向け撃ったのは一体誰だったのか?私達の心はイスラエルと共にあります。」とツイートした(その後、当ツイートは削除された)。

 このツイートについて、本年五月十五日の朝日新聞は、同月十四日に日本外国特派員協会で開かれた記者会見でワリード・シアム駐日パレスチナ常駐代表が「人種差別的だ」と非難し、また、同日同協会における会見でイスラエルのストゥルロブ駐日臨時代理大使が「彼の声を聞くのを望んでいた。この複雑な状況において私たちを勇気づける声だ」と正反対の受け止めを示したことを伝えている。

 また、本年五月二十四日付けで内閣官房参与を辞任した高橋洋一嘉悦大学教授は、同月九日、自身のツイッターで新型コロナウイルスの日本と各国の感染者数を比較したグラフを示し、「日本はこの程度の「さざ波」。これで五輪中止とかいうと笑笑」とツイートした。さらに、同月二十一日、「日本の緊急事態宣言といっても、欧米から見れば、戒厳令でもなく「屁みたいな」ものでないのかな。「屁みたいな」とは日本の行動制限の弱さとの意味。下図参照」と、日本と各国の行動制限を比較したグラフを示したツイートをした。同月二十五日の朝日新聞は、「高橋参与が辞職「さざ波」「屁みたいな」投稿に批判」と見出しをつけて、高橋参与の辞職を報じた。

 これらを踏まえ、以下質問する。

一 中山副大臣のツイッターは、防衛副大臣としての活動と政治家個人の活動や見解が混在している。本年五月二十五日の参議院外交防衛委員会で中山副大臣は、ツイッターなどのSNSは「個人の見解を自由に申し上げる、そういった場がこのSNSだと思っております。」と答弁した。しかし、同日の委員会で岸防衛大臣は、「今の役職としては副大臣ということも入ってくるわけですけれども、そうした全体的な立場を勘案した上での個人的なツイート、私見ということで考えております。」と「全体的な立場を勘案」する必要があると答弁している。副大臣の職に就いている者は当然、個人のSNSのアカウントだとしても、自らの立場やその影響を考慮して発信すべきであると思うがいかがか。

二 中山副大臣は自身のツイッターのトップに自身が防衛副大臣の役職であることを明示的に載せており、さらに、例えば本年五月二十四日には「防衛省・自衛隊が運営する「ワクチン大規模接種センター」今日から東京・大阪で接種開始。防衛省・自衛隊、一丸となって頑張ります。国民皆様のご協力を、何卒よろしくお願い申し上げます。」と防衛副大臣の立場でツイートしているので、ツイートが副大臣としての発信か、個人の発信かを区別することができなくなっていることは、国内外の誤解や不信を招きかねない。

 加藤勝信内閣官房長官は本年五月十二日午後の記者会見で「個人のツイッターでの発信と承知をしておりますので、その意図を私どもは承知しているわけではありませんので、コメントは差し控えたいと思います。」と述べているが、公職にある者が個人の思いだとして好き勝手に発信していいのか。

三 内閣の一員にある者が、公式見解と異なる考えを発信することによる国益への悪影響をどのように考えるか。

四 思想信条、表現の自由は最大限尊重されるべきは言うまでもないが、内閣の一員である間は、政府の見解から外れる発信は慎むよう申し合わせ等が必要ではないか。

  右質問する。