質問主意書

第204回国会(常会)

質問主意書


質問第七四号

選挙投票所の閉鎖時刻に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和三年五月二十七日

ながえ 孝子


       参議院議長 山東 昭子 殿



   選挙投票所の閉鎖時刻に関する質問主意書

 愛媛県南宇和郡愛南町の愛南町選挙管理委員会が、次期衆議院総選挙から投票所の閉鎖時刻を見直したいとして、愛南町内各地の行政協力員に対し、投票所の閉鎖時刻の繰上げに関する意見を求める書面(令和三年五月十日付け愛選挙発第五〇号)を出し、要望を聴取している。

 愛南町選挙管理委員会からは投票所の閉鎖時刻の見直しの理由は特に示されておらず、愛南町議会議員の問合せに対する回答によると、現在、すでに繰り上げによって午後六時に閉鎖している投票所については閉鎖時刻を更に繰り上げて午後五時にしようとする計画のようである。当該計画が実施されれば、多くの働き手がまだ就業中の可能性のある午後五時に二十六か所の投票所が閉鎖されることになり、町内にある五十一か所の投票所のうち、通常の閉鎖時刻である午後八時まで投票できる投票所はわずか三か所だけになる。

 公職選挙法第四十条では、投票所の開閉時間は午前七時から午後八時までと規定され、ただし書きで、「市町村の選挙管理委員会は、選挙人の投票の便宜のため必要があると認められる特別の事情のある場合又は選挙人の投票に支障を来さないと認められる特別の事情のある場合に限り、投票所を開く時刻を二時間以内の範囲内において繰り上げ若しくは繰り下げ、又は投票所を閉じる時刻を四時間以内の範囲内において繰り上げることができる」と規定されており、極めて限定的に自治体の選挙管理委員会による時間変更が認められていると承知している。

 右を踏まえて、以下質問する。

一 前述の愛南町の場合、選挙人の投票の便宜のため必要があると認められる特別の事情があるとは判断しがたく、午後五時に閉鎖する投票所が全体の約半数となると、選挙人の投票に支障をきたす可能性が高くなると考えられる。このように自治体が恣意的に投票所の閉鎖時刻を変更することは公職選挙法の趣旨に反するものと思われるが、総務省の見解如何。

二 近年低減傾向にある投票率を向上させる目的で、有権者の利便性を考え、投票所の開設時間の延長が図られている。これは、投票が国民主権の根底をなす参政権を保障する行為であることから、投票率の向上のため、あらゆる改善の努力がなされてきたものである。この流れに逆行する安易な投票所閉鎖時刻の繰上げは、参政権の侵害にも当たると懸念するが、総務省の見解如何。

三 公職選挙法第四十条ただし書きに規定されている、自治体の選挙管理委員会の裁量による閉鎖時刻の変更が、町内の半数近い投票所を対象に行われることについて、総務省の見解如何。

四 行政協力員は、投票所開設時に立会人として投票所に待機するケースが多く、役務時間の短縮を望む行政協力員が多いことも理解できる。このような事情を踏まえると、行政協力員に投票所の閉鎖時刻の判断を聴取することが、町民の意見を公正に反映することになると考えるのか、総務省の見解如何。

  右質問する。