質問主意書

第204回国会(常会)

質問主意書


質問第五〇号

国家公務員倫理法等の違反行為に対する「調査の端緒」の理解に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和三年四月五日

田島 麻衣子


       参議院議長 山東 昭子 殿



   国家公務員倫理法等の違反行為に対する「調査の端緒」の理解に関する質問主意書

 国家公務員倫理法(以下「同法」という。)は、過去の国家公務員による不祥事の続発が、職務の公正さに対する国民の不信を増大させ、公務全般に対する厳しい批判を招いた反省から、一般職に属する国家公務員の職務に関わる倫理を規律するために制定されたものである。

 ゆえに同法では、国家公務員の職務に係る倫理の保持に資するために必要な措置として、国家公務員が同法及び同法に基づく命令を遵守しているか否かの調査に関する規定を定めている。

 そもそも調査が行われなければ、同法等に違反する職員の行為の事実関係も明らかにされないことから、同法及び同法の違反行為に関する調査は、行政の自浄能力という観点からも、非常に重要なものと考える。

 しかし、現行法上では、どのような事象を端緒として調査が行われるかは、一義的に明らかではない。

 よって、同法等の違反行為に対する調査の端緒について、以下質問する。

一 同法第二十二条は「任命権者は、職員にこの法律又はこの法律に基づく命令に違反する行為を行った疑いがあると思料するときは、その旨を審査会に報告しなければならない」として、調査の端緒に係る任命権者の報告について規定している。

 調査の端緒が存在するときとは「任命権者は、職員にこの法律又はこの法律に基づく命令に違反する行為を行った疑いがあると思料するとき」との理解で正しいか。

二 調査の端緒、すなわち同法第二十二条で規定される「職員にこの法律又はこの法律に基づく命令に違反する行為を行った疑いがあると思料するとき」とは、一般的にどのような事象の発生を指すか。

三 調査の端緒、すなわち同法第二十二条で規定される「職員にこの法律又はこの法律に基づく命令に違反する行為を行った疑いがあると思料するとき」とは、公務員倫理ホットラインなどを通じて、投書、電子メール、電話等で同法等違反に関する情報が、国家公務員倫理審査会に寄せられたときを含むか。

四 調査の端緒、すなわち同法第二十二条で規定される「職員にこの法律又はこの法律に基づく命令に違反する行為を行った疑いがあると思料するとき」とは、新聞報道や週刊誌報道で、当該職員が国家公務員倫理規程上の利害関係者又はその他の事業者等から、社会通念上相当と認められる程度を超えて供応接待又は財産上の利益の供与を受けたと報道されたときを含むか。

五 調査の端緒、すなわち同法第二十二条で規定される「職員にこの法律又はこの法律に基づく命令に違反する行為を行った疑いがあると思料するとき」とは、他の職員に供応接待を行った事実のある事業者が、その供応接待が行われていたのと同じ時期に、実質的な公示期間が不足する巨額の公共契約を一者入札で受注しており、かつ、その契約を担当する職員が供応接待を受けた他の職員とかつて職場を同じくしていた場合を含むか。

六 前記三、前記四及び前記五に対し、個別の事例に対する答えは差し控えると政府が答弁する場合、個別の事例に関する正確な解釈の積み重ねこそ、一般的・普遍的な正しい理解を生むとの指摘にどう答えるか。

七 同法第二十二条の調査の端緒の解釈が過去の国会で議論されたことはあるか。ある場合、その解釈はどのようなものであったか。

八 令和元年度には、国土交通省の地方支分部局の職員が、立入検査、監査又は監察の相手方として利害関係がある事業者から、飲食の供応接待を三回(合計三万円程度)受けたとして戒告処分を受けた。この場合の調査の端緒は何であったか。

九 令和元年度には、国税庁の地方支分部局の職員が、利害関係のない事業者から金銭の贈与をそれぞれ一回から二回(一人当たり二万円から六万円)受け、また、別の職員が、同事業者から金銭の贈与を一回(二万円)受けたほか、部下職員が同事業者から金銭の贈与を受けた行為を黙認したとして戒告処分を受けた。この場合の調査の端緒は何であったか。

十 同法第二十八条は「審査会は、第二十二条の報告又はその他の方法により職員にこの法律又はこの法律に基づく命令に違反する行為を行った疑いがあると思料する場合であって、職員の職務に係る倫理の保持に関し特に必要があると認めるときは、当該行為に関する調査の開始を決定することができる」とあるが、「その他の方法」とはどのような方法を指すか。

  右質問する。